「Wi-Fi」という言葉が世の中に登場した1999年。当時のインターネット環境は、電話網を利用したダイヤルアップ接続やISDNが主流でした。それから4半世紀が経つ2024年、新たなWi-Fi規格であるIEEE802.11be、「Wi-Fi 7」が日本で実用化されます。このページでは、Wi-Fi 7の特徴や魅力をご紹介します。
Wi-Fi 7はIEEE802.11be(別名「Extremely High Throughput (EHT)」)を基に策定されている、Wi-Fiの最新規格です。日本では2023年12月に省令が改正され、利用が可能になりました。(令和5年総務省令第95号「電波法施行規則等の一部を改正する省令」)
規格の最大通信速度は46Gbps と、Wi-Fi 6の登場時、Wi-Fi 5から1.39倍の速度向上となった事に比べ、Wi-Fi 6からWi-Fi 7へは4.79倍も通信速度が向上します。
Wi-Fi 5
Wi-Fi 6
Wi-Fi 6E
Wi-Fi 7
Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6/(Wi-Fi 6E) | Wi-Fi 7 | |
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リリース年 | 2013年 | 2019年/(2022年) | 2024年 |
IEEE規格 | IEEE802.11ac | IEEE802.11ax | IEEE802.11be |
最大通信速度 | 6.9Gbps | 9.6Gbps | → 46Gbps* |
周波数帯 | 5GHz | 2.4GHz/5GHz/(6GHz) | 2.4GHz/5GHz/6GHz |
チャネル幅 | 20,40,80,80+80,160 MHz | 20,40,80,80+80,160 MHz | → 最大320MHz |
変調方式 | 256-QAM OFDM | 1024-QAM OFDMA | → 4096-QAM OFDMA |
MIMO | 4x4 DL MU-MIMO | 8x8 UL/DL MU-MIMO | 8x8 UL/DL MU-MIMO |
*単体23GBPSでMulti Link Operation(MLO)利用時
Wi-Fi 7では、1チャネルあたりの占有周波数帯幅の広帯域化、変調方式の多値化等による高速化に加えて、2.4GHz、5GHz、6GHz帯の異なる周波数帯にまたがって柔軟にデータを伝送する技術などの見直しにより、より確実で高速な通信を確立し、周波数利用の効率化を実現しようとしています。以下はWi-Fi 7がもたらすポイントです。
2.4GHz、5GHz、6GHz、3つの周波数帯を組み合わせて通信することで、以前よりも大容量、低遅延、高信頼性の通信が可能になりました。
特徴:複数の周波数帯を同時に、またすいている帯域を優先して使い伝送
メリット1:複数の周波数を束ねて使うので高速に通信できる
メリット2:すいている帯域を優先的に使うので干渉の影響を緩和できる
これまでの160MHzの利用に加え、320MHzというより広い帯域幅を使うことにより、通信の高速化、大容量通信にメリットが生まれます。
Wi-Fi 7では4096-QAMに対応しました。これにより、従来の1024-QAMに比べて20%高い伝送速度を実現することができるようになりました。
連結して送るフレーム数を増強することができます。これまで最大256だった数値は4倍の1024。これにより、より高速に通信ができるようになります。
1台のアクセスポイントに接続している複数の端末間で 電波をきめ細かく割り当てることにより、同時通信時に 電波を最大限有効に使うことができるようになります。
これまでは端末が使うチャネルが同じだと、電波干渉を受けてしまい通信が滞っていました。Preamble Puncturing機能は、干渉を避けて快適に通信ができるようになります。
低遅延性能が実現する「快適な同時通信」
低遅延性能が実現する「快適な同時通信」
学校や会議室、イベント会場等で、複数人が一斉に1つのサイトにアクセスしたときに、ネットワークが混雑して、通信に時間がかかった経験があると思います。
Wi-Fi 7は、これまでの規格よりも同時通信時のネットワーク接続が快適になるように規格が定められています。大人数で会議をしながらインターネット上の高画質動画を再生したり、学校の授業で生徒全員が同じ動画にアクセスしたりしたときに全員が通信遅延のない未来になることでしょう。
インターネットのトラフィック量は
どんどん増えていく
インターネットのトラフィック量はどんどん増えていく
総務省は、2023年5月時点でのインターネットのダウンロードトラフィックは1ヶ月1 契約あたり約30.5Tbpsであると発表しました。これはWi-Fi 6が制定された2019年と比べても約2倍以上、Wi-Fi 5制定時の2013年と比べると約10倍のトラフィック量になります。
Wi-Fi 6がメインとなったここ最近はコロナ禍による在宅ワークやリモート会議などで、トラフィック量は大きく跳ね上がりました。このままのスピードでトラフィック量が増えていくと、ある日突然通信環境に問題が生じてしまうことも考えられます。Wi-Fi 7のインフラ環境を事前に整えておくことで、快適なインターネット環境を構築することができます。
A. これまでの5GHzでは160MHz幅(全部で8チャンネル分の帯域)の利用でしたが、Wi-Fi 7では6GHz帯で320MHz幅(全部で16チャンネル分の帯域)を確保しているためです。
A. WPA3が引き続き利用可能で、高いセキュリティ性になっています。
A. 無線LAN環境をよりよくするために、ルーターや有線LANケーブルなどの見直しをしておくことをおすすめします。高速性を求めるなら光回線の環境も見直すことも必要です。