Wi-Fi 6Eとは?通信規格の特徴と導入するメリット・デメリット 3分でわかる!無線LANミニ知識

Wi-Fi 6Eは、現在利用できるWi-Fiの中で最新の規格です。Wi-Fi 6EWi-Fi 6を拡張した企画で、従来のWi-Fiにはなかった周波数帯を利用でき、安定した高速通信を実現しています。
本記事では、Wi-Fi 6Eの概要とメリット・デメリット、導入時の注意点について解説します。安定したWi-Fi環境を構築したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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Wi-Fi 6Eとは?

Wi-Fi 6Eは202311月現在利用できる最新のWi-Fi規格で、従来はなかった帯域に対応しており、より安定した高速通信を実現しています。ここではWi-Fi 6Eの概要と今後登場予定のWi-Fi 7との違いについてご紹介します。

Wi-Fi 6Eの定義

Wi-Fi 6E」とは、6GHzの周波数帯を利用できるWi-Fiの規格です。202311月現在利用できる規格としては最新の規格となっています。

Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6IEEE 802.11ax)を拡張した無線通信の規格で、EExtend(拡張)を意味しています。従来のWi-Fi 6までの規格では5GHz2.4GHz2つの周波数帯を利用できましたが、Wi-Fi 6Eでは加えて6GHzも利用可能です。5Ghz帯は電波干渉が少なく安定しており、2.4Ghz帯は遮蔽物に強いという特徴がありました。Wi-Fi 6Eで利用できる6Ghz帯は干渉する通信機器の利用が少なく、帯域を利用する通信も少ないため、高速通信を実現しています。

Wi-Fi 6Eは従来の規格よりも利用できる周波数帯が増えているだけでなく、最大通信速度や帯域幅についても従来の企画を上回っています。Wi-Fi 6Eを正しく導入できれば、従来よりも高速で安定した通信の実現が可能となるでしょう。

Wi-Fi 7との違い

Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)は、2024年にリリース予定の次世代の無線LAN規格です。最大通信速度は46Gbpsで、Wi-Fi 6E(最大通信速度9.6Gbps)の約5倍の通信速度を実現しています。
Wi-Fi 7が対応している周波数帯はWi-Fi 6Eと同じく、2.4Ghz5Ghz6Ghz3つです。しかし、Wi-Fi 6Eが対応しているチャンネル幅が最大160Mhzであるのに対し、Wi-Fi 7は最大320Mhzまで対応しています。チャンネル幅とは周波数の帯域幅のことで、数値が大きいほど一度に転送できるデータ量が増える仕組みです。
「変調方式」についても、Wi-Fi 7では「4096QAM」が利用されており、「1024QAM」を使っていたWi-Fi 6E以前の規格よりも、遅延がない伝送が期待されています。変調方式とはデータを電波に変換する際の方式のことで、優れた変調方式であるほど一度により多くのデータを送信できるようになります。

Wi-Fi 7について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

【比較表】Wi-Fi 7とは?いつから利用できる?4つの特徴や旧規格との違い

Wi-Fi 6E対応ルーターのメリット・デメリット

Wi-Fi 6Eには多くのメリットがありますが、いずれのメリットも、享受するには6GHz帯での利用が必要です。ここでは、Wi-Fi 6E対応ルーターのメリットと、利用する際に注意すべきデメリットについて詳しく解説します。

Wi-Fi 6E対応ルーターのメリット

Wi-Fi 6E対応のルーターには、以下の3つのメリットがあります。

・混雑や干渉が少ない

・通信用のチャンネルが増える

・DFSによる待機時間が発生しない

いずれのメリットも、6GHz帯を利用することで発揮されます。それぞれのメリットについて確認していきましょう。

混雑や干渉が少ない

6GHz帯を利用できるWi-Fi通信はWi-Fi 6Eによる接続のみなので、通信速度の遅い端末に通信を占有されずに済みます。そのため、複数の機器を接続しても速度が低下しにくく、安定した通信が可能です。

通信用のチャンネルが増える

Wi-Fi 6Eでは2.4GHz5GHz6GHz3つの周波数帯を利用でき、周波数帯ごとに用意された複数のチャンネルの中から選択して通信できます。通信用のチャンネルが増えるため、その分快適な通信を実現できるのも、Wi-Fi 6Eの特徴です。

DFSによる待機時間が発生しない

DFSによる待機時間が発生しないのも、Wi-Fi 6Eのメリットです。
DFSとは「Dynamic Frequency Selection(動的周波数選択)」のことで、気象レーダーや航空機レーダーといった重要性の高いレーダー波に干渉しないための仕組みで、レーダー波を感知した際に別の周波数帯に切り替える機能となっています。5GHz帯を使用している場合はDFSによって急に通信が途切れることがありますが、6GHz帯を使用すればそのリスクはありません。

Wi-Fi 6E対応ルーターのデメリット

一方で、Wi-Fi 6E対応のルーターには以下のデメリットもあります。

電波を遠くまで飛ばすのが難しい

Wi-Fi 6Eは電波が弱く、遮蔽物に妨げられやすい傾向にあります。そのため、ルーターと接続機器の間に障害物があると通信が不安定になりやすく、機器の配置や配線について気をつかわなければなりません。

回線契約によってはWi-Fi 6Eの性能を活かせない

回線契約によっては、Wi-Fi 6Eのメリットが最大限に発揮されないこともあります。Wi-Fi 6およびWi-Fi 6Eの最大通信速度は9600Mbpsですが、日本では光回線(1Gbps)以下の回線が主流となっており、実際の通信速度は契約速度を下回るのが一般的です。そのため、Wi-Fi 6Eの性能を活かしきれないことも珍しくありません。

Wi-Fi 6Eの導入時に気をつけたいポイント

Wi-Fi 6Eを導入する際に注意したいポイントとして、対応機器が少ないということも挙げられます。Wi-Fi 6Eを利用するには、規格に対応した専用のネットワーク機器やデバイスが必要です。
しかし、Wi-Fi 6Eの規格に対応しているPCやスマートフォンなどの接続機器はまだ多くありません。ルーターだけWi-Fi 6Eに対応していても、デバイスが接続できなければ意味がないため、事前にチェックしておく必要があります。
Wi-Fi 6Eルーターを使っても、Wi-Fi 6対応機器との互換性はあるため、Wi-Fi接続自体は問題なくできます。その場合6GHz帯の利用など、Wi-Fi 6Eのメリットを享受することはできないため、注意しましょう。

Wi-Fi 6Eの導入タイミングに注意を払いましょう

Wi-Fi 6Eは、従来のWi-Fi規格では利用できなかった「6GHz」の周波数帯を利用できる最新規格です。6Ghz帯は混雑しにくく、他の通信機器やレーダー波による干渉も受けないため、安定した高速通信を実現しています。

しかしWi-Fi 6Eには、遮蔽物に電波が妨げられやすかったり、回線契約によってはオーバースペックになってしまい、性能を最大限に活かせなかったりといったデメリットもあります。Wi-Fi 6Eを導入する際は、対応したスマホやスマートテレビ、タブレット、パソコンなどのデバイス・製品やWi-Fiルーターなどの中継機(中継器)があるかどうかもチェックし、回線契約や親機や無線ルーターの配置にも配慮し、通信環境・アクセスポイントの整備が必要です。今後、メーカーの技術やシステムが発展して普及すれば新規商品や対応機種などが増加し、企業の事業はもちろん、スマートホーム化など個人であってもQOL(生活の質)の向上につながることが期待できるため、Wi-Fi 7の動向に注目することをおすすめします。