【比較表】Wi-Fi7とは?いつから利用できる?4つの特徴や旧規格との違い 3分でわかる!無線LANミニ知識
自社の通信環境に課題を抱えている企業で待望されているのがWi-Fi7です。特に通信速度の高速化や同時接続台数の増加、低遅延化といったWi-Fi7の主要な特徴は、ビジネスの現場に大きな変化をもたらす可能性があります。そこで今回は、Wi-Fi7の概要や利用開始のタイミング、現行規格との違い、具体的な特徴について解説します。Wi-Fi7の登場を待たずに通信環境を改善するための製品もご紹介しますので、企業のご担当者さまはぜひ参考にしてください。
Wi-Fi7とは?
業界・業種を問わずあらゆるビジネスシーンでインターネットを利用する現代では、Wi-Fiの通信速度や同時接続台数などが重要な意味を持ちます。そこで期待されているのがWi-Fi7です。最初にWi-Fi7の概要について解説します。
Wi-Fi7は次世代の無線LAN規格
Wi-Fi7は、数年以内の登場が予想されている次世代の無線LAN規格です。正式名称はIEEE 802.11be Extremely High Throughput (EHT)で、Wi-Fi6やWi-Fi6Eの後継となります。
Wi-Fi6は2022年9月時点で主流となっている規格です。旧規格のWi-Fi5と比べて通信速度が向上したことで、4Kや8Kなどの高画質映像の視聴やリアルタイム性が求められるオンライン会議の実施などに役立っています。またWi-Fi6Eは、利用できる周波数帯をWi-Fi6から拡張(Extended)した規格です。2023年12月に総務省の省令が改正され、正式に320MHz帯の利用が可能になりました。
Wi-Fi7は、上記の旧規格よりも高い通信速度や低いレイテンシー(遅延時間)、ネットワーク容量の拡大などが期待されています。既存のビジネスの仕組みにも影響を与える可能性があるため、最新情報を常にチェックすることが大切です。
【出典】
「電波法施行規則等の一部を改正する省令(令和5年総務省令第96号)」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000918948.pdf
Wi-Fi7はいつから利用できる?
Wi-Fi7は2024年末にWi-Fi7対応製品の認証が開始される予定です。ただし、正確なリリース日は公表されておらず、無線LANルーターやスマホなどの対応デバイスが市場に並ぶのは2025年以降になる可能性もあります。世界のテック企業などが随時Wi-Fi7に関するデモンストレーションを実施しているため、できる限り最新の情報をチェックしておきましょう。
なお、2024年1月時点では、国内において旧規格のWi-Fi6Eも普及されていない状態です。2020年1月に発表された規格が、日本では2年半以上の歳月をかけて認可されたことを踏まえると、Wi-Fi7の普及にも相応の時間がかかると考えられます。
Wi-Fi7と旧規格の違い
Wi-Fi7には旧規格に比べて通信速度の高速化や同時接続台数の増加などが期待されています。具体的には、通信速度は最大4倍ほどの高速化が実現される見込みがあり、同時接続できる台数は2倍ほど増加する可能性があります。旧規格との詳細な比較に関しては、下記の表でご確認ください。
<Wi-Fi7と旧規格の違い>
Wi-Fi7 | Wi-Fi6E | Wi-Fi6 | Wi-Fi5 | |
リリース年 | 2024年(未定) | 2022年 | 2019年 | 2013年 |
IEEE規格 | 802.11be | 802.11ax | 802.11ax | 802.11ac |
最大通信速度 | 46Gbps | 9.6Gbps | 9.6Gbps | 6.9Gbps |
周波数帯 | 2.4/5/6GHz | 2.4/5/6GHz | 2.4/5GHz | 5GHz |
チャンネル幅 | 最大
320MHz
|
20,40,80, 80+80,160MHz | 20,40,80, 80+80,160MHz | 20,40,80, 80+80,160MHz |
変調方式 | 4096-QAM
OFDMA
|
1024-QAM
OFDMA
|
1024-QAM OFDMA | 256-QAM OFDM |
チャンネル幅とは周波数の帯域幅のことで、最高周波数と最低周波数の差を表しています。チャンネル幅が広い(=数値が大きい)と一度に転送できるデータ量が増えるため、通信速度の向上が期待できます。
また、変調方式とはデジタルデータを電波として伝送する際に、最適な電気信号へと変換する仕組みのことです。Wi-Fi7では4096-QAMの変調技術が採用されており、伝送速度やストリーミング体験の向上が見込まれています。
Wi-Fi7の特徴
Wi-Fi7には、データ通信速度の向上や同時接続台数の拡大などさまざまな特徴があります。こちらではそれぞれの特徴を深掘りします。
最大通信速度は46Gbps
Wi-Fi7のスループットは、最大46Gbpsまで高速化される予定です。スループットとは、通信回線の速度やコンピュータシステムが一定時間内に処理できるデータ量を表す単語です。この数値が大きいほど通信回線の速度が速く、コンピュータシステムの処理能力が高いことを意味します。
Wi-Fi7の最大46Gbpsという数値は、Wi-Fi6やWi-Fi6Eの最大9.6Gbpsと比べると4倍以上の値であり、数値上は大幅な高速化を実現しています。あくまでも理論値のため、実際に46Gbpsが出る可能性は低いですが、通信速度の向上はWi-Fi7における大きな特徴です。
また、Wi-Fi7の高速通信は消費者がデータサイズの大きいコンテンツをスムーズに体験する際にも役立ちます。例えば、16K動画のストリーミングや高精細なVR・ARの高速伝送などに活用することで、ユーザーのオンライン体験を向上させるでしょう。
同時接続できる台数は最大16台
Wi-Fi7ではマルチリンクオペレーションの技術が導入され、従来の規格と比較して同時接続できる台数が増える点も特徴です。マルチリンクオペレーションとは、接続時における複数の周波数帯の同時利用をサポートする機能のことで、「Multi-Link Operation」を略してMLOと呼ばれます。具体的には、Wi-Fi6やWi-Fi6Eでは最大8台まで同時接続できましたが、Wi-Fi7では最大16台まで拡大できる見込みです。ビジネスシーンでは、パソコンやスマホ、複合機などさまざまな機器をインターネットに接続する必要があり、Wi-Fi7の恩恵は大きいといえるでしょう。
レイテンシー(遅延時間)が100倍近く減少
Wi-Fi7には、レイテンシーを一定化する「Deterministic Latency」の技術が用いられています。これにより遅延の低減が期待されており、Wi-Fi6やWi-Fi6Eと比較すると、ワーストケース(最悪の場合)のレイテンシーが100倍近く改善される見込みです。条件次第では、有線LANに近い快適さで通信できる可能性があります。AR・VRアプリケーションや、クラウド・オンラインゲームなどの利用環境の改善も期待できるでしょう。
連続していない周波数を利用可能
Wi-Fi7には、連続していない周波数を利用できるようにする「Multi-RU Puncturing」の技術が用いられています。Wi-Fi7で使用できる周波数帯は、2.4GHz、5GHz、6GHzの3種類があります。このうち6GHzの最大帯域幅は320MHzで、Wi-Fi6Eの160MHzよりも広いのが特徴です。帯域幅が広くなることで送れるデータの量が従来よりも多くなり、通信速度の高速化につながります。
Wi-Fi7の仕組みや特徴を理解して自社の通信環境の整備に役立てよう
Wi-Fi7の概要や旧規格との違い、具体的な特徴について解説しました。Wi-Fi7は、現行のWi-Fi6やWi-Fi6Eと比較して、高速・低遅延・大容量化を実現する次世代の無線LAN規格です。日常生活はもちろん、企業のビジネスにも影響を与える可能性があるため、将来の実用化に向けて常に最新情報を収集しておきましょう。
また、2022年現在ではWi-Fi7の実用化が数年先になる見込みのため、もし現時点で自社の通信環境に課題を抱えている場合は、現行の最新規格であるWi-Fi6に対応し、安定性・安全面に優れた機器の使用をおすすめします。
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