ネットワークの輻輳とは?起こりやすい場面と原因、回避する方法 3分でわかる!無線LANミニ知識

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業務時や日常生活において、特定のクラウドサービスやサイトにつながりにくいといった問題がたびたび生じることがあります。これらの現象を専門用語でネットワークの「輻輳(読み方:ふくそう)」といい、複数のユーザーが同じ場所に対してインターネットの通信を行うことで過負荷が生じ、つながりにくくなるのです。
特に災害時に電話回線が混雑してつながりにくくなるといった現象が、インターネット上にも起こるリスクがあるため対策が求められます。データ通信の遅延の解消を実現するには、トラフィックの見直しや、サイトやアプリケーションを提供している機器の性能の向上が必要です。

ネットワークの輻輳(ふくそう)の基礎知識

ネットワークの輻輳とは、いわゆるインターネット遅延を意味しています。インターネット接続時に、なかなかサイトが開かなかったりデータのダウンロードが完了しなかったりすることがあります。データの送受信の遅れなどによりインターネット輻輳が生じている可能性があります。

ネットワークの輻輳とは?

インターネット回線にアクセス(トラフィック)が集中または急増して、混雑する状況を表しています。GWなどの大型連休に多くの車が1か所のテーマパークに集中し、道路渋滞を引き起こすことがあるかと思いますが、同様の現象に近いと考えればわかりやすいでしょう。輻輳が発生することでトラフィック量が増加して通信速度の低下を引き起こし、ネットワーク機器の通信システムがダウンするおそれがあります。
インターネットによる通信は、もはや生活に欠かせないインフラとなっているため、総務省がネットワークの輻輳を「アクセス集中」に言い換えることを検討しています。なぜなら障害発生時に、多くのユーザーへ対してわかりやすく周知し把握してもらう必要があるためであり、今後は大手通信会社6社も共通して、「輻輳」を「アクセス集中」に言い換えて使用する方針です。

ネットワークの輻輳で通信速度の低下を感じる理由

・ネットワーク機器の処理速度が低下するため

インターネットを利用するためにはデータの送受信が必要であり、送受信したデータ量の処理待ち(キューイング)が生じます。そのため送受信時に若干の時間がかかります。キューイングされたパケットは順番に処理されるため、アクセスが集中すればするほど順番待ちが発生し、通信速度が遅く感じるのです。

・パケットロスが起こるため

データの送受信中に、データ容量の上限を超えたパケットが消失することがあります。たとえば画像1枚分を100個のパケットに分けて送った際、パケットロスにより80個しか送信されなかったとします。この場合、新しく残り20個分のパケットが再送されます。このように完全にパケットがそろうまで、パケットのデータの送信が繰り返される。またパケットを送信する際にもネットワークに負荷がかかり続けるため、通信速度が遅く感じられるのです。

ネットワークの輻輳が起こる主な場面と原因

ネットワークの輻輳は、日常生活においてもまれに生じることがあります。具体的に輻輳が起こりやすい場面と原因について述べます。

ネットワークの輻輳が起こりやすい場面

ネットワーク輻輳は、主に下記のような場面で起こりやすいといえます。

*コンサートのチケットの予約・販売
*年末年始などのあいさつの送信
*駅やイベントなどでのフリーWi-Fiの利用

・コンサートのチケットの予約・販売
コンサートチケットを確実に購入するために、予約販売時に公式サイトを開こうとしたところ、ネットワークの遅延によりなかなかつながらないといった経験をお持ちの人もいるかと思います。多くのファンが同時にチケットを購入しようとすると、公式サイトのや販売サイトやアプリケーションが過負荷状態になり、予約手続きがスムーズに進まないことがあります。これはネットワークの遅延が原因で、多くのユーザーが同時にアクセスすることでサーバーに負荷がかかり、応答が遅くなるためです。

・年末年始などのあいさつの送信
年末年始などの特別な時期には、多くの人々が、LINEなどのSNSで家族や友人にあいさつのメッセージを送るためにネットワークを利用します。そのため、SNSのネットワークに負荷がかかり遅延が発生しやすいとされています。実際に、年末年始にはSNSやメッセージアプリなどの通信量が急増し、サーバーへのアクセスが集中するため、遅延が発生することがあります。その結果、メッセージの送信や受信に時間がかかることがあります。また、ビデオ通話や音声通話などのリアルタイムなコミュニケーション手段でも、回線速度が低下する可能性が高いです。

・駅やイベントなどでのフリーWi-Fiの利用
フリーWi-Fiの利用は、駅やイベントなどでのネットワーク遅延を引き起こす可能性があります。イベント会場にて多くの人が集まり、ほぼ同時に会場にて用意されたフリーWi-Fiに接続しようとするため、ネットワークの混雑が発生し、遅延が生じることがあるのです。特に駅やイベント会場など、多くの人が集まる場所では、フリーWi-Fiを利用する人が急増し、ネットワークへ大きな負荷がかかります。その結果、インターネットの通信速度が遅くなることがあります。

ネットワークの輻輳が起こる主な原因

前述したような場面においてネットワークの輻輳が起こる原因は、主にネットワークの利用が一時的に増加していることにあります。たとえば、ネットワーク上の複数のPCがソフトウェアのアップデートを同時に行う場合、ネットワークを利用する人員の数が増えている場合、ネットワーク回線の帯域幅が不十分な場合などがあります。ネットワーク回線の帯域幅とは、データ通信が行われる際に送信可能な最大データ転送量を示す指標です。帯域幅が広いほど、より多くのデータを高速で送受信することができます。一般的に、帯域幅は「ビットレート」や「データレート」と呼ばれる単位で表され、1秒間に転送できるデータ量を示します。

ネットワークの輻輳を回避する主な方法

ユーザー側でネットワークの輻輳を回避するには、インターネット通信が混雑する時間帯を避けたり、通信性能が高いスマートフォンなどの端末を使用したりなどの解決策があります。一方でインターネットサービスやアプリケーションを提供する側においても、対策が必要です。

利用目的に合ったネットワーク回線の導入

利用目的に応じて必要な帯域幅が異なるため、適切な帯域幅のネットワーク回線を導入します。たとえばメールのやり取りをする場合は、帯域幅が狭くても良いですが、動画の閲覧を行う場合は広い帯域幅が必要です。

IPoE方式の回線の導入

IPoE方式の回線は帯域幅が広いため、多量のインターネット通信が起こることが予想される場合は導入します。IPoEIP over Ethernet)方式とは、標準規格であるインターネットプロトコル(IP)を利用して、イーサネット(Ethernet)を介して通信する方式です。イーサネットとは主に有線LANを用いて行う通信規格のことであり、この方式では、ユーザーがインターネットに接続する際に、プロバイダーが提供するIPアドレスを使用して通信を行います。

IPoE方式のネットワーク回線は、従来のPPPoEPoint-to-Point Protocol over Ethernet)方式と比較して、よりシンプルで効率的な通信が可能です。また、PPPoE方式では必要だったユーザー名とパスワードの入力が不要になるため、利便性も向上し、ネットワークの輻輳が起こりにくくなるといえるでしょう。

ルーターの処理能力の見直し

インターネットの遅延は、サービスを提供している企業のルーターの処理能力によって引き起こされることがあります。特に、ネットワークが過負荷になったり、複数の端末が同時に接続したりすると、ルーターの処理能力が追いつかなくなり、遅延が生じることがあります。そのため、ルーターの処理能力を見直す必要があるのです。新しいルーターを導入したり、既存のルーターの処理能力を向上させるための設定変更を行ったりすることで、遅延を解消できます。

帯域保証型ネットワーク回線の利用

帯域保証型ネットワーク回線の活用が有効です。通常の回線では、複数のユーザーが同じ回線を共有するため、混雑時には通信速度が低下することがあります。しかし、帯域保証型ネットワーク回線なら、利用者ごとに一定の帯域を確保できるため、常に安定した通信速度が期待できます。特にオフィス内で利用する社内ネットワーク(VPN)やITシステムなど、業務において高速かつ安定した通信が求められる場合には、帯域保証型ネットワーク回線の導入が有効です。

ネットワーク輻輳を回避するにはトラフィックの監視と帯域幅の増幅が必要

ネットワーク輻輳とは、ネットワーク上でデータの送受信が集中し過ぎた結果、通信速度が低下したり、データが遅れたりする状態のことを指します。ネットワーク上で送られるデータ量が通信回線の容量を超えてしまう、またはネットワーク機器が過剰なデータ処理を行うことによって発生します。

回避するにはデータ送信のトラフィックを監視し、ピーク時には帯域幅を増やして負荷を分散させることが重要です。さらに、データの処理性能が高い機器を導入することも有効です。冗長化されたネットワーク構成を行うことで、ピーク時や障害時にも安定した通信を確保できます。