無線LANの家庭用と業務用の違いは? 3分でわかる!無線LANミニ知識

無線LANは大きく分けて家庭用と業務用があります。一体家庭用と業務用の具体的な違いとは何でしょうか?今回は無線LANの家庭用と業務用の違いを解説していきます。

家庭用と業務用の違いとは?

家庭用と業務用の無線LANのアクセスポイントには、まず機能面やセキュリティにおいて違いがあります。家庭用で使うからと言って、家庭用が適しているかどうかはわかりません。また、法人でも接続する台数によっては家庭用を使うメリットが出る場合もあります。無線LANを導入する際は、それぞれポイントごとに違いを見て、自分に適した方を考えてみましょう。

・無線LANに同時接続可能台数の差
無線LANの家庭用は1~2台接続できるタイプが多いです。同時接続台数が家族の数を超えることはあまりありません。それに対して、業務用は10台~数100台といった多くの台数に対応する必要があります。オフィスにはパソコンや電話、複合機などが複数設置されていることがほとんどです。しかし同時に通信できる量は決まっているので接続台数が多くなればなるほど、通信速度が遅くなってしまいます。業務用は通信速度が遅くなることはあっても同時接続可能台数が多いことが特徴になっています。

・セキュリティレベルの違い
家庭用では通信の際、暗号化が一般的に使われています。最近は、解析されにくい複雑な暗号である「WPA2-personal-AES」や「WPA2-PSK(AES)」、「WPA/WPA2-PSK(AES)」が使われています。親機と子機で通信する際にその暗号化キーを使って通信することで、第三者によるデータの盗み見を防ぐことができます。それでも本格的に解読されると暗号が破られるリスクはあります。
企業では情報の取扱いには家庭以上に細心の注意を払うことが求められます。そのため、業務用の場合は家庭用に比べて高レベルのセキュリティレベルが必要です。業務上の機密事項など社外に漏れると企業としての信頼性を失うため、前述の暗号化だけでなく、RADIUSやLDAPといった外部認証サーバーとの連携で、情報の漏洩や改ざんを防ぐ手段がとられています。

品質の良さでは業務用

通信やセキュリティの品質はもちろん、無線LAN機器の品質に関しても業務用の方が優れています。同時に多数の端末との通信を行うため、性能が良いCPUの搭載や、複数のSSIDが登録でき、接続するクライアント(パソコン・複合機など)を適正な台数に自動で割り振りをしてくれるロードバランス機能など家庭用には見られない機能がたくさんはいっています。また、耐環境性能に優れており、経年劣化での故障率や再起動率は家庭用よりも低い傾向にあります。

そのほかの違いとは?

家庭用の場合、ルーター機能と無線LANアクセスポイント機能が一緒になった無線LANルータータイプがほとんどです。それに対して、業務用はすでに拠点間通信を行うためのルーターが導入されているなかに無線LANを追加するという手順となるため、ルーター機能がなく、無線LANアクセスポイントのみの機能をもった無線LAN製品であることが多いです。

また、業務用では機器同士の通信制限を設定する機能があります。また、管理の一元化が可能で、設定変更をまとめて行うことや異常事態の早期発見も可能です。多数のパソコンを接続したい場合は、アクセスポイントの複数設置で、自動的に付加が分散されます。
さらに、無線LANの設定についても大きな差があります。家庭用は1台だけ設定すれば終わりなので、設定をコピーする必要はありませんが、業務用の場合、複数の無線LANアクセスポイントを設置するケースがほとんどです。すべての端末に同じ設定を入力するのは非常に手間ですが、業務用にはその手間をカバーする機能が搭載されています。無線LANアクセスポイントに行った設定を書き出して保存することができ、書き出した設定データは他のアクセスポイントで設定を読み込ませて簡単に設定作業を完了できます。

・コストの面では家庭用に軍配が上がる
家庭用は低価格で家電量販店でも購入できる手軽さと設置の簡単さが魅力です。それに対して、業務用は耐久性や安定性、安全性に優れているものが多いため、機器自体の価格は高くなります。単純に機器自体の価格でいうと家庭用に軍配が上がります。しかし、業務用は価格が高くなるものの、強力なセキュリティ対策や同時接続台数が多いこと、同時接続時にバランスを自動でとるなどの機能が豊富に入っているなどのメリットがあります。これらをどのように活用するかによってコストパフォーマンスが決まります。安かったけれど情報を盗み取られて損害が出たといっては元も子もありません。

用途と品質、コストのバランスが大切

何となく「セキュリティが良いから業務用」とか「安いから家庭用が良い」などと考えていた方は、もう1度、無線LANの家庭用と業務用の違いを考えてみませんか。選ぶときは必要に応じたセキュリティレベルや品質などで、使用用途に合わせて適したものを選ぶようにしましょう。最近は家庭用でも解読が難しくなった暗号化技術が使用されており、セキュリティのレベルは高くなりました。
家庭での利用の場合、多くの性能を求めすぎるとかえってコストがかかってしまう場合もあります。個人で活用するのか?業務として活用するのか?最終的に達成したい目的は何かを見直し、導入する場合は、費用対効果を考えて決めるようにしましょう。