病院でフリーWi-Fiを導入する危険性とは?リスクを抑える方法 3分でわかる!無線LANミニ知識

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スマートフォンなどの端末を無料でインターネットにWi-Fi接続できる場所やエリアである「フリーWi-Fi」は、公共施設や商業施設などを中心に普及が広がっています。病院やクリニックなどの医療機関も例外ではなく、フリーWi-Fiを導入することで「高速通信」や「通信量の削減」といった患者や外部訪問者により良いインターネット環境を提供できます。
ただし、誰もが利用できるフリーWi-Fiは既存のネットワーク環境とは異なるリスクや危険性が存在します。病院がフリーWi-Fiを導入する際に知っておくべき事項と導入事例を紹介します。

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Wi-Fiフリースポットとは? 使用できる場所と導入時のポイント

病院でフリーWi-Fiを導入時に想定される危険性・リスク

病院でフリーWi-Fiを導入する際、特に注意して対策すべきリスクとしては「利用者の個人情報の流出」、「医療機器への悪影響」、「コスト増大」の3つが挙げられます。それぞれについて詳細を解説します。

個人情報の流出

フリーWi-Fiを選ぶ際は、必ず患者の個人情報のセキュリティを考慮しなければなりません。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、フリーWi-Fiの危険性として「通信内容の盗聴」、「なりすまし」、「悪意のアクセスポイント」、「不正目的でのフリーWi-Fiの使用」の4つを挙げています。
一般的にフリーWi-Fiを導入する際、アクセスポイント名である「SSID」と通信を暗号化する「パスワード」を組み合わせてセキュリティレベルを向上させますが、それでも絶対に安全とはいえません。患者や外部訪問者のクレジットカード・銀行口座情報、各種アカウント情報、端末内のデータが漏えいしてしまうと、病院の評判などにも悪影響が及ぶ可能性があります。
一方、セキュリティレベルをいたずらに上げすぎると、利用者がなかなかインターネットに接続できないといったユーザビリティが低くなるケースも考えられます。そのため、フリーWi-Fiを導入する際は、「セキュリティ」と利用者が快適に使える「利便性」の両立を図る必要があるのです。

※出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「公衆無線 LAN 利用に係る脅威と対策

医療機器への悪影響

基本的にフリーWi-Fiは患者や外部訪問者向けに設置されます。そのほか、病院では内部のスタッフが利用する業務用のWi-Fiが設けられているケースが多いです。フリーWi-Fiと業務用のWi-Fiが電波干渉し、正常に機器同士やネットワークに接続できないといった不具合が発生する可能性が考えられます。
また、無線LANの規格であるWi-Fiで使用される電波の周波数帯にはBluetoothなどの「2.4GHz」と「5GHz」の2種類があります。医療機器においては主に2.4GHzの電波を発生させる機器が多いため、同じ周波数帯のWi-Fi機器を導入した場合、電波干渉が起こるリスクが上がると考えられます。

コストの増大

フリーWi-Fiを設置するには、複数のWi-Fi機器を導入し、継続的に運用し続ける必要があります。当然、Wi-Fi機器の導入には費用が発生するほか、月額費用というランニングコストが発生します。導入するWi-Fi機器の数やエリアによって各コストも変わるため、計画的に予算を組まなければ想定以上にコストが増大する可能性があります。

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病院のフリーWi-Fi導入時に危険性・リスクを抑える方法

病院にフリーWi-Fiを導入する際、危険性・リスクを抑えるには「業者の選定」、「利用環境の構築」、「機器やシステムの選定」を正しく行う必要があります。それぞれのポイントを解説します。

サポート体制が充実している導入業者を選定する

フリーWi-Fiを導入するには、さまざまな通信業者や機器の契約、購入を検討しなければなりません。一般的にフリーWi-Fiを選ぶポイントは、料金(初期費用・月額利用)、通信速度、同時接続数が挙げられることが多いです。これらに加えてセキュリティ性を考慮するのであれば、導入時とその後の「サポートの充実」も選定基準にすることをおすすめします。フリーWi-Fiの導入後も設定変更などのメンテナンスが欠かせないうえ、万が一のトラブルの際の迅速な対応が求められます。法人向けのWi-Fiサービスの業者であれば、手厚いサービスが提供されているケースが多いです。長期的な視座に立ち、信頼性の高い業者を選びましょう。

安全性を高めるための適切な制限や環境をつくる

病院における無料Wi-Fiの「安全性」は、業務用のネットワーク環境と利用者の2つの立場になって考える必要があります。業務用のネットワーク環境についてはフリーWi-Fiとの電波干渉のリスクを抑え、医療機器の誤作動を防ぐ必要があります。そのためには、設けたいフリーWi-Fiのエリアと周囲にある医療機器への影響に配慮してWi-Fi機器を設置しなければなりません。両者のバランスをとる専門のノウハウが不可欠といえるでしょう。
また、フリーWi-Fiの「盗聴」や「第三者の悪用」をされないためには、患者や部外者以外が使用できない環境の構築も求められます。パスワードの設置はもちろん、フリーWi-Fiに接続できるエリアなども考慮する必要があるでしょう。

■フリーWi-Fiのセキュリティ対策の代表例

セキュリティ対策

脅威(脅威への対策効果)

利用しやすさ

提供しやすさ

盗聴

悪意のAP

なりすまし

不正利用

暗号化(APと端末間)

認証機能

AP接続アプリ

VPN通信

※出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「公衆無線 LAN 利用に係る脅威と対策

セキュリティに強いWi-Fi機器・通信システムを導入する

Wi-Fi機器や通信システムの業者によって、講じられているセキュリティ対策は異なります。通信の暗号化の規格やエンタープライズ認証の有無などの違いはありますが、基本的に「法人用のネットワーク機器」は、家庭用の機器と比べてもセキュリティ性が高い傾向があるので、小規模なクリニックだとしても優先的に導入を検討するのがおすすめです。

病院へのフリーWi-Fi導入におすすめの機器・システム【導入事例あり】

業務用Wi-Fi機器(無線LAN)のリーディングカンパニー「フルノシステムズ」では、病院のフリーWi-Fiにも活用いただいているソリューションを多数提供しています。その一例を紹介します。

無線LAN機器「ACERAシリーズ」

無線LANアクセスポイント「ACERAシリーズ」は、高い信頼性とセキュリティ性が求められるオフィスや学校、商業施設、医療機関で多数導入されています。その特徴は端末を多数接続しても安定して稼働し、高負荷状態でも途切れない性能のほか、管理ソフトウェアで通信状態を手軽に確認できるといった「管理者の負担軽減」などが挙げられます。
病院ではフリーWi-Fiとしての活用はもちろん、ビデオ通話を使ったオンライン面会など「患者のQOLの向上」に直結するさまざまな施策が「ACERAシリーズ」を導入することで実現されています。

病院への導入事例

埼玉県戸田市に一部の行政施設における市民向けの公衆無線LANサービス「いいとだスポット」の無線LAN機器、管理システム、認証基盤サービスが採用されるなど、公共施設においては確かな実績を積み重ねています。
医療業界においてフリーWi-Fiの注目が高まったのは、新型コロナウイルス感染症の流行です。院内での感染を防ぐため、お見舞いや面会が禁止なり入院患者の「孤独化」が大きな課題となったのです。

その約6年前、神戸市にある総合病院に患者と病院スタッフをつなぐコミュニケーションツール「楽コール・システム」のネットワークの基盤としてフルノシステムズの「ACERAシリーズ」が導入されました。同システムによって患者と病院スタッフのコミュニケーションが円滑になっただけでなく、患者と家族のオンラインでの面会も行うなど、コロナ禍でもQOLを維持・向上できるサービスを提供可能になりました。

医療・入院患者様向け病室Wi-Fi

病院のフリーWi-Fiの導入は危険性に適切に対応しましょう

病院にフリーWi-Fiを導入することで、患者や外部訪問者のQOLを向上につなげることが可能です。世代を問わずスマートフォンが普及した昨今、必要性が低下することはないため検討する価値は高いと考えられます。フリーWi-Fiの危険性やリスクをしっかりと把握し、それらに適切に対応できる業者を選定することが、病院にとっては重要なポイントといえるでしょう。

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