ネットワーク設計の基礎知識│手順の流れと上手に進めるポイント 3分でわかる!無線LANミニ知識

IT機器の導入が進んでいる中で、デバイスと同様に重要なのが企業におけるネットワーク環境の構築です。最適なネットワーク環境を構築できないと、業務に支障をきたしたりセキュリティ上の問題が生じたりといったリスクにつながる恐れがあります。最適なネットワーク環境を構築するには、ネットワーク設計を行わなければなりません。本記事では、ネットワーク設計の概要や手順、押さえておくべきポイントについて解説します。

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ネットワーク設計の基本的な知識

はじめに、ネットワーク設計に関する基礎的な知識について解説します。以下の要素について事前に把握しておきましょう。

・ネットワーク設計とは
・LANとは
・WANとは

ネットワークの設計には専門的な知識と高度な技術が要求されます。本格的な設計は専門のベンダーに依頼することになる企業が多いものの、自社でも最低限の知識はチェックしておきましょう。

ネットワーク設計とは?

ネットワーク設計とは、通信機器をネットワークに接続するための環境設計を行うことを指します。PCやスマートフォン、プリンターなどさまざまな機器を効率よく利用するには、有線無線問わずネットワークへの接続が欠かせません。
環境や接続する機器、規模などによって、最適なネットワーク設計の構成は大きく異なります。目的や要件に適したネットワーク設計を行わなければなりません。

LANとは?

LAN」とは「Local Area Network」の略称で、特定の狭いエリアのみで接続できる、限定的なネットワークを指します。

LANには「有線LAN」と「無線LAN」があります。有線LANは、ネットワーク機器と各通信機器とをケーブルで接続するタイプのLANで、無線LANはケーブルを使用しない接続方法です。一般的には、無線LANWi-Fiとして認識されており、使いやすさの観点から企業でも導入が進んでいます。

WANとは?

WAN」とは「Wide Area Network」の略称で、遠く離れたエリアとつながったネットワークを指します。多くの人が日常的に利用しているインターネットも、世界中をつないでいるWANの一種と言えます。近年では、家電などあらゆるものをインターネットに接続して操作・通信するIoTWANによって可能となっており、LANと同じく現代に欠かせないネットワーク技術のひとつです。

社内ネットワーク設計の手順

ここでは、社内ネットワーク設計の手順をご紹介します。一般的に、社内ネットワークの設計は以下のような流れで行われます。

1.現状を把握する
2.目的を明確にして設計方針を決める
3.最適な構成を検討し、ネットワークを設計する
4.ネットワークの運用・管理方法を決める

手順を事前に理解し、自社に適したネットワークの設計に役立ててみてください。

Step1.現状を把握する

はじめに、社内の現在の状況を把握して問題点を洗い出す必要があります。自社に適切なネットワーク構築を行うには、自社の現状と問題点を把握して、どのようなネットワークが必要かをチェックしなければなりません。
仕事で利用している、あるいは今後利用する予定の機器やアプリケーションの種類を確認しておきましょう。利用する機器・アプリケーションを把握しておくことで、ネットワークに必要な帯域を想定できるようになります。

Step2.目的を明確にして設計方針を決める

現状把握ができたら、ネットワークの要件や目的・設計方針を明確にしましょう。要件定義によって構築の目的や必要な帯域、実現したい通信速度、セキュリティ強度などを明確にすることで、設計の方針が定まります。

ネットワーク設計は、主に以下の3つの要素から方針を決めると良いとされています。

1.システム設計:どのような機器・システムが必要か
2.物理設計:機器の配置や配線をどのように設計するか
3.論理設計:各機器がどのネットワークに属するか

要件定義には高度なスキルが要求されるため、ネットワークエンジニアと連携しながら進める必要があります。

Step3.最適な構成を検討し、ネットワークを設計する

要件定義ができたら、最適なネットワーク構成を検討し、設計に着手します。ネットワーク設計では、使い勝手の良さと帯域の安定性を両立させなければなりません。従業員の要望や性能と、コストなどのバランスを取る必要があります。冗長化も考慮すると、可用性の高いネットワークが構築できます。冗長化とは、ネットワーク障害時に対応できるよう、予備を準備しておく運用のことです。可用性を確保するために、負荷がかからないネットワークトポロジー(ネットワークの接続形態)を考えることも重要です。たとえば、以下のようなネットワークトポロジーがあります。

1.バス型トポロジー
2.スター型トポロジー
3.フルメッシュ型トポロジー

バス型トポロジーは、全ての機器が一本のケーブルに接続する形で構成されるネットワークトポロジーです。設定は比較的簡単ですが、ケーブルに障害が発生すると全ての通信機器が使えなくなってしまうため、最近ではほとんど利用されません。スター型トポロジーは、スイッチやルーターなどを中心に置き、そこから他の通信機器に接続する形態です。現在の主流となっていますが、中心の機器に障害が起こると全体が影響を受けてしまうため、対応が必要です。
フルメッシュ型トポロジーは、すべての機器(ノード)を相互に接続する形態です。可用性が非常に高く、障害に強いのが特徴ですが、複雑なため設計・構築や運用の手間がかかります。

Step4.ネットワークの運用・管理方法を決める

設計ができたら、保守運用・管理方法も決めましょう。マニュアル化しておくことをおすすめします。マニュアルを従業員に共有しておくことで、簡単なトラブルであれば迅速に対応できるようになります。

ネットワーク設計を上手く進めるポイント

ネットワーク設計を上手く進めるには、以下の3つのポイントを意識してみてください。

・従業員の声をヒアリングする
・シンプルでわかりやすいネットワーク構成図を作成する
・ネットワークの拡張性を考慮する

ポイントをおさえて設計することで、より自社に最適なネットワーク構築が実現できます。ぜひチェックしてみてください。

従業員の声をヒアリングする

社内の現状を把握し、目的を整理するためには従業員へのヒアリングが欠かせません。実際に業務の中で利用する従業員が快適に作業できるようなネットワーク構築が大切です。ヒアリングは面談やアンケート形式で調査すると良いでしょう。主なヒアリング内容は以下の通りです。

・現状の不具合や課題
・問題改善のための要望
・利用中もしくは今後利用したいアプリケーションなど

シンプルでわかりやすいネットワーク構成図を作成する

分かりやすいネットワーク構成図を作成しましょう。ネットワーク構成図とは、ネットワークの構成を物理的・論理的に書き表した資料のことです。トラブルが発生した際の素早い原因究明と対応につなげられるように、作成者以外でも読み取れるようにしておく必要があります。

わかりやすいネットワーク構成図を作成するには、以下のポイントを意識してみてください。

・機器同士の接続状況を簡潔に記載する
・ネットワーク構築に必要な情報(IPアドレス、サブネットマスクなど)を記載する
・図形やアイコンを活用する
・適宜色分けして見やすさを意識する

ネットワークの拡張性を考慮する

ネットワークの拡張性を考慮した設計を意識しましょう。従業員数や使用するアプリケーション数などは、状況によって増減します。ネットワークの再構築には手間やコストがかかりやすいため、将来的な拡張を念頭に置いておくことも大切です。

可用性と拡張性を考慮したネットワーク設計は専門ベンダーへの相談を

可用性が高く快適なネットワーク環境の構築は、企業のインフラ整備として欠かせないタスクのひとつです。ネットワーク設計が適切に行われていなければ、最適なネットワーク環境を構築することはできません。

従業員の可用性や将来的な拡張性を考慮し、自社に適した環境を想定したネットワーク設計を行う必要があります。ネットワーク設計・構築には高度な専門的スキルが求められるため、ノウハウがない場合や不安がある場合には、専門のベンダーへの相談も検討してみてください。