Wi-Fiの電波干渉とは?通信に悪影響を与える主な原因と対処法 3分でわかる!無線LANミニ知識

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Wi-Fiとは無線LAN規格の1つであり、電波を利用してデバイスとインターネット回線を接続する仕組みを指します。LANケーブルを必要としない便利な技術ですが、通信環境の悪化を招く「電波干渉」が発生するというデメリットもあります。電波干渉の有無はWi-Fi接続の安定性や通信速度に直結するため、発生する原因を理解し、適切な対策を講じることが大切です。本記事では、Wi-Fiの電波干渉の定義や原因、対処法などを解説します。

Wi-Fiの電波干渉に関するよくある疑問

Wi-Fiの電波干渉とは?

Wi-Fiの電波干渉とは、Wi-Fiで利用する電波が何らかの原因で影響を受ける現象です。例えば、他の機器がWi-Fiと同じ周波数帯域を利用している場合、電波同士が干渉し合い、通信の混線が発生する可能性があります。Wi-FiはLANケーブルを使わない無線通信のため、接続機器が増えれば電波干渉を受けるリスクも増します。

Wi-Fiの電波干渉が起こるとどうなる?

Wi-Fiの電波干渉が発生すると、主に以下のような症状が現れます。

・通信速度が低下する

・通信が遮断される

・通信が不安定になる

通信状態が急に悪くなったときは電波干渉が起こっている可能性が高いです。

Wi-Fiの電波干渉を確認する方法は?

電波干渉の有無をチェックするには、専用のツールやアプリを利用すると良いでしょう。無線LAN管理ソフトの中には電波強度やチャンネルの使用状況を可視化するものもあります。問題の特定に役立つだけでなく、空いているチャンネルを見つけることも可能です。

Wi-Fiの電波干渉が起こる主な原因

次はWi-Fiの電波干渉が発生する原因をご紹介します。

Wi-Fiルーターの使用方法に問題があるケース

Wi-Fiルーターまでの距離が遠い

電波が届く範囲は周波数帯ごとに異なります。2.4GHz帯は電波が遠くまで届きやすく、5GHz帯は届きづらいです。5GHz帯の場合は通信可能な距離が短いので、Wi-Fiルーターから遠い部屋では通信が不安定になりがちです。ただし、2.4GHz帯にもデメリットはあります。距離の影響は受けづらいですが、同時使用できるチャンネル数が少なくチャンネル同士の干渉も起きやすいです。

Wi-Fiルーターの間に障害物がある

5GHz帯は障害物に弱く電波が届きにくい特徴があります。そのため、親機と子機の間に障害物(壁、床、家具など)があると、通信が途切れたり、通信速度が低下したりします。

・チャンネルの割り当てが適正ではない

Wi-Fiの周波数は、電波干渉を起こしにくくするため、いくつかのチャンネルに分割されています。例えば、2.4GHz帯には14個のチャンネルがあり、5GHz帯には19個のチャンネルがあります。細かな区分にすることで、接続機器同士の周波数が被らないようにしているのです。つまり、同じ周波数でも別のチャンネルを使用することで、干渉が起こりにくくなります。ただし、Wi-Fiと他の電子機器とで使用しているチャンネルが隣接していると電波干渉が起こりやすいので、チャンネルの組み合わせには注意しましょう。

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電化製品の電波が要因となるケース

Wi-Fi通信に2.4GHz帯の周波数帯を利用している場合には、電波干渉の可能性が高まります。2.4GHz帯はさまざまな電化製品で利用されており、Wi-Fiルーターと同じ周波数帯の電波が限られた帯域で行き交うことになってしまうからです。2.4GHzを使用した主な電化製品は以下の通りです。

・電子レンジ

IHクッキングヒーター

・テレビ

これらの大型家電を使用すると帯域の奪い合いが生じて、結果的に無線通信に支障をきたす可能性があります。また、Bluetoothなどのワイヤレス接続を行う機器も電波干渉の原因となります。

・ヘッドホン

・イヤホン

・ミュージックプレーヤー

・キーボード

・マウス

・カメラ

・コードレスの固定電話

・ワイヤレス充電器

例えば、上記の家電がWi-Fiルーターの近くに設置されていれば、通信速度の低下や混線などのトラブルにつながります。

レーダーが電波干渉の要因となるケース

Wi-Fi通信で5GHz帯の周波数帯を利用している場合、レーダーによる電波干渉が起こりやすいです。レーダーとは気象観測レーダーや船舶用レーダーのことを指し、5GHz帯のうちW53W56に属するチャンネルがこれらの影響を受けます。一般的に5GHz帯に対応したWi-Fi機器には、レーダーの邪魔にならないようにDFSという機能が備わっています。DFSDynamic Frequency Selection)は、レーダー波とWi-Fiの電波が干渉するのを防ぐための機能であり、電波が重なり合う前にWi-FIの通信を停止したり、別の周波数帯への切り替えを行ったりします。「5GHz帯はWi-Fi専用の電波」と表現されることも多いですが、レーダー波のほうが重要度が高く優先されるため、一時的にWi-Fiの通信が途切れてしまうリスクはあるのです。

Wi-Fiの電波干渉を解消・回避する主な対処法

Wi-Fiの電波干渉を回避するための方法を4つご紹介します。

Wi-Fiルーターや使用機器の配置を変える

電波干渉の原因が、端末とWi-Fiルーター間の距離や障害物であるならば、Wi-Fiルーターおよび使用機器の配置変更をおすすめします。障害物とは、壁や棚、金属、家具などのことで、Wi-Fiルーターは障害物から離して配置することが大切です。理想的な配置としては、部屋の真ん中でなおかつ床から12mほどの位置が良いとされています。
また、Wi-Fiルーターと同じ周波数帯の電波を用いる電化製品があれば、両者を近づけないようにしてください。

周波数帯を変える

2.4GHz帯を利用している電化製品がある場合、Wi-Fiルーターの周波数帯を5GHz帯へ変更することで問題が解消する可能性があります。先述の通り、2.4Ghz帯はさまざまな家電で利用される周波数帯であり、電波干渉を起こしやすい傾向があるためです。反対に5GHz帯の電波は電化製品からの干渉を受けにくいため、安定した通信が可能となるでしょう。
ただし、5GHz帯の電波を利用する接続機器が増えると、2.4Ghzと同様に電波干渉を起こしやすくなります。特に最近は5GHz帯に対応した端末も増えているため、この対策が機能しないことも考えられます。

アクセスポイントのチャンネルを変更する

通信障害の原因が5GHz帯の利用およびDFSによる通信遮断であると考えられる場合、有効な対処法はWi-Fiルーターのチャンネル変更です。レーダー波に使用されるW53W56のチャンネルを避け、W52のチャンネルに固定するのが効果的です。変更方法は製品やメーカーにより異なるため、説明書やWebサイトなどで調べると良いでしょう。
注意点として、W52のチャンネルは国内で広く使われているため、場所や時間帯によっては回線が混雑するリスクがあります。

メッシュWi-Fiを使う

メッシュWi-Fiとは、広い範囲で安定した通信状態を作るための通信形態のことです。網目(メッシュ)のように複数のネットワーク機器が繋がるので、たとえ通信経路のどこかで障害が発生しても別の経路で接続することができます。
適した接続先に自動調整される仕組みなので、電波干渉により機器の通信が遮断されるという事態は起こりにくいです。

Wi-Fiの電波干渉を回避して快適な通信環境を構築しましょう

Wi-Fiは電波を使用して情報をやりとりするので、複数の電波がぶつかり合うと電波干渉が発生します。しばらく放置するだけで回復する可能性もありますが、基本的には原因を取り除くほうが安全です。
そのため、ネットワークの通信速度や接続状況に問題がある場合は、本記事でご紹介した対処法を試してみてください。Wi-Fiルーターの設置場所や周波数帯、チャンネルなどが適切であるか確認し、必要に応じてWi-FiEやメッシュWi-Fiを導入することをおすすめします。