ローカル5Gとは?Wi-Fiとの違いやメリット・デメリット 3分でわかる!無線LANミニ知識

ローカル5Gは、ネットワークの速度を高速化して通信の低遅延化を可能にした「第5世代移動通信システム」です。ローカル5Gを導入することで、高いセキュリティの確保や自社のIoTを活用したスマートファクトリーなどを実現できます。今回は、ローカル5Gについて、他の類義語との違いも含めて説明します。自社または自治体内でローカル5Gの導入を検討されている、またはローカル5Gで課題を解決したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

ローカル5Gとは?

通信業者ではない企業や自治体の、独自の5Gネットワーク構築のことです。専用のネットワークを一部のエリアまたは建物内に構築することで、低遅延通信を可能にすると同時に、工場内の機械の自動運転やロボットの遠隔操作・遠隔制御、高精細映像によるカメラの遠隔監視など、リアルタイム性が求められる現場において大変役に立ちます。但し構築して運用を行うためには、無線局の免許が必要です。

ローカル5Gと似ている用語の違い

・パブリック5Gとの違い

パブリック5Gとは、通信事業者(携帯キャリア会社)が提供している「第5世代移動通信システム」のことで、主にNTTドコモ・ソフトバンク・KDDIの企業が提供しています。またローカル5Gとは異なり、一般の利用者向けの5Gネットワークサービスです。通信事業者が展開しているエリアであれば全国どこでも利用できる仕組みになっています。ローカル5Gは企業や自治体などが独自に構築しているネットワークのため、パブリック5Gのエリア外でも利用可能なことがあります。

・プライベート5Gとの違い

プライベート5Gとは、通信事業者が企業や自治体からの要件に応じて特定エリアに構築した専用の5Gネットワークのことです。ローカル5Gは、企業や自治体がおもに自身でネットワーク環境を立ち上げて独自で運営を行いますが、プライベート5Gのサービスを提供しているのは通信事業者になります。ローカル5Gとパブリック5Gの中間的な位置づけといえます。

Wi-Fiとの違い

Wi-Fiは、IEEE 802.11規格を使用した無線ネットワーク技術を指し、スマホやタブレットなど対応する端末が豊富です。しかし一方で、多くの人や機器が一度にネットワークを利用した場合は、電波干渉が起こる可能性があり、接続不良に陥ることもあります。しかし複数のアクセスポイントを同時接続した場合、Wi-Fiを広い範囲で利用することができます。また、Wi-Fiにおいても「5G」という概念が存在しますが、この「5G」は周波数帯の「5GHz」を示しています。ローカル5Gの「5G」は「5th Generation」の略称であり、第5世代移動通信システムのことを指しているため意味合いが異なるため、Wi-Fiにおける「5G」との意味合いには大きな違いがあります。

ローカル5Gと他の通信との比較

【ローカル5G

・通信速度:最大10Gbps程度
・通信エリア:自社のエリア内
・免許:必要
・コスト:初期費用や月額が高い

【パブリック5G

・通信速度:最大10Gbps程度
・通信エリア:全国(通信事業者の展開エリア)
・免許:不要
・コスト:比較的安価

【プライベート5G

・通信速度:最大10Gbps程度
・通信エリア:特定のエリア内
・免許:不要
・コスト:初期費用・月額が高い

Wi-Fi

・通信速度:最大7Gbps程度
・通信エリア:該当エリア内
・免許:不要
・コスト:比較的安価

ローカル5Gのメリット・デメリット

UTMに含まれている主なセキュリティ機能について解説します。かつてはこうした多様なセキュリティ対策をそれぞれ行わなければなりませんでしたが、UTMなら一つ設置するだけで多方面におけるセキュリティ対策が実現できます。

ローカル5Gのメリット

・携帯キャリアのエリア外でも構築できる

NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIなどの通信キャリアが提供しているパブリック5Gは、少しずつ利用可能な範囲が拡大しているとはいえ、まだエリア外の地域もあります。しかしローカル5Gならば独自のネットワーク環境を構築するため、携帯キャリアのエリア外でも利用できます。

・速度比率をカスタマイズできる

ローカル5Gは、特定の場所(企業や施設など)に専用の5Gネットワークを構築できるだけでなく、ネットワークの速度比率をカスタマイズすることもできます。そのため環境を構築する場所に合わせた通信速度に調節できます。例えば、大規模なデータの送受信が必要な場合には、通信速度を最大限に引き出せます。一方で、セキュリティを重視したい場合には、通信速度を抑えることで安全性を確保することも可能です。

・セキュリティ性に優れている

ローカル5Gは専用のネットワーク環境を利用しているため、一般的なネットワーク環境とは異なり、外部からのアクセスが制限されています。これにより、不正なアクセスや攻撃を防ぐことができます。さらに、ローカル5Gではデータの暗号化が徹底されています。通信するデータは高度な暗号化技術によって保護されており、第三者による盗聴や改ざんを防げます。また、ローカル5Gは独自のセキュリティポリシーを適用できます。これにより、利用環境やニーズに合わせたセキュリティ対策を柔軟に実施できることも特徴です。

ローカル5Gのデメリット

・初期費用や運営コストがかかりやすい

ローカル5Gを導入する際には、初期費用や運営コストが他のネットワーク環境に比べて高いといえるでしょう。運営コストについても、専門の技術者や保守スタッフの雇用、セキュリティ対策などに多額の費用がかかることが考えられます。

・利用するための免許取得が必要

ローカル5Gの利用には、免許の取得が必要とされています。ローカル5Gは、高速かつ安定した通信環境を提供することが期待されており、企業や自治体など様々な組織が導入を検討しています。しかし免許の取得には、通信事業者や関連する規制当局との調整が必要となります。具体的な手続きや条件については、通信環境整備推進機構などの公的機関によるガイドラインを参考にすることが重要です。また、免許取得にあたっては、周辺環境への配慮や安全対策なども重要なポイントであり、ローカル5Gの導入によって通信環境が向上する一方で、周囲への影響を最小限に抑えるための配慮が求められています。

・障害物に弱い

障害物に弱いという課題があり、建物や樹木などの障害物があると、通信の安定性や速度に影響を及ぼす可能性があります。このような課題の対処法としては、通信機器の適切な設置や周波数の最適化など、技術的な改善が求められます。

ローカル5Gの普及があまり進んでいない理由

高速なネットワーク通信が可能であるにもかかわらず、本格的な普及は令和7年以降になると予測されています。ローカル5Gの普及が遅れている理由について解説します。

ローカル5Gだからできることが確立していない

ローカル5Gを構築することによっての活用事例や、構築すべき理由があまり確立されていないことが挙げられます。インターネットを利用するだけならばWi-Fiで実現できてしまうため、実証実験は複数回行われているものの、社会実装に至ったサービスがまだ少ないといえるでしょう。「ローカル5Gだからできること」が明確化していないため、費用対効果の壁を超えられないのです。またローカル5Gを導入するためのハードルが高いことも理由の一つといえます。ローカル5Gは専門知識を持ったエンジニアが必要であるうえ、免許の取得が求められます。また、導入するための機材が高額であり、それらを自らそろえる必要があります。ローカル5Gの普及には中小企業や小規模案件にも適用できるようになることが求められるでしょう。

通信品質や安定性に対する不安

ローカル5Gは、初期費用が高額なうえハードルが高いにもかかわらず、導入事例が少ないためか、通信制や安定性に不安を感じるところもあるようです。非常にリスクが高い投資であるとの考えが浸透していることも理由の一つでしょう。

ローカル5Gはリアルタイム性が求められる場面に適した次世代型移動通信システム

ローカル5Gとは、第5世代移動通信システムのことを指し、低遅延通信を実現可能にします。ローカル5Gの導入により、工場や倉庫、商業施設などの産業分野でのIoT(モノのインターネット)の活用やリアルタイム性が求められる業務に役立てられるでしょう。一方で、ローカル5Gによって実現できることのほとんどがWi-Fiでも実現できてしまうことや、運営コストや免許が必要などの導入ハードルの高さがあることにより、普及が進んでいないといった課題があります。しかしローカル5Gが本格的に普及することにより、地域社会全体がさらなる発展を遂げる一助となることが期待できるでしょう。