固定IPアドレスとは?メリットやデメリット、主な活用方法 3分でわかる!無線LANミニ知識
ネットワークに接続する端末には、IPアドレスという住所の役割を果たす数値が、端末ごとにランダムで割り振られます。そのため、端末を再起動したりネットワークへ再接続したりする際には、また異なるIPアドレスが割り振られます。しかし固定IPアドレスは、あらかじめ割り振られたIPアドレスから変更されることなく利用できる固定の方式です。そのため特定の機器のみアクセスできるようにしたいケースなどに便利であり、サービスを提供する企業にとっては必須といえます。
固定IPアドレスの基礎知識
固定IPアドレスは、インターネット上におけるセキュリティを強化できるため、主に企業やサービス提供者向けのIPアドレスといえます。はじめにIPアドレスおよび固定IPアドレスの仕組みについて知り、設定すべき理由について見ていきます。
そもそもIPアドレスとは?
IPアドレスとは、インターネットに接続されている端末を識別するためのものであり、私たちが住んでいる自宅やお店などの「住所」と同等の役割があります。たとえば、PCやスマホ、ルーターなど機器の種類に関わらず、ネットワークに関わる機器すべてに割り当てられ、同一のIPアドレスは存在しません。またIPは「Internet Protocol」の略であり、インターネット通信が可能になるよう定められた、世界共通の規約を指しています。
IPアドレスはプロバイダー(ISP)から付与されますが、固定IPアドレスと動的IPアドレスの2種類があります。プロバイダーとは、フレッツ光などのように、顧客がインターネットを利用できるよう光回線とインターネットをつなげてくれるサービス事業者のことです。
固定IPアドレスと動的IPアドレスの違い
固定IPアドレスはプロバイダーから提供された特定のIPアドレスで、初めに割り振られたIPアドレスから変わることがありません。そのため継続的に使用するものに割り振られることが多く、企業がネットワークを構築する際に利用されます。一方で動的IPアドレスはインターネットに接続するたびに異なるIPアドレスが割り振られます。接続時点で使用されていないIPアドレスがランダムで割り当てられるため、IPアドレスが都度変化しても問題がない機器などに割り振られます。
固定IPアドレスのメリットとデメリット
・固定IPアドレスのメリット
あらかじめ指定したIPアドレスのみのアクセスを許可し、接続可能な機器のIPアドレスを制限できます。すると外出先からでも、ネットワークに接続した機器にリモートアクセスができます。たとえば社内のPC、ネットワークカメラなどのIoT機器などが挙げられます。指定したIPアドレス以外の機器からは一切アクセスができなくなるため不正アクセスが防止でき、セキュリティ強化につながります。
・固定IPアドレスのデメリット
固定IPアドレスは、基本的には契約するインターネットプロバイダーに申し込んで割り振ってもらうことで利用できます。そのため、固定IPアドレスを利用する際にはオプションとして追加料金が発生することがあります。しかし法人向けでない場合など、プロバイダーによっては固定IPアドレスを提供していない場合もあり、その際はご自身および自社で、インターネットの導入時に機器の設定作業が必要になります。
固定IPアドレスの主な活用シーン
固定IPアドレスを利用すれば、自社で提供しているWebサイトなどの接続サービスを提供したり、セキュリティ対策を行いながらテレワークなどで情報を管理したりすることが実現できます。
VPNの構築
VPNは「Virtual Private Network」の略であり、独自の回線を用いて構築された、仮想専用通信網のことです。インターネット上に設置することで、自社の各拠点にある固定IPアドレスが割り振られた端末をつなぎ、まるでLANでつないだかのように、1つのネットワークを独自で構築できます。あらかじめ定めた固定IPアドレスの端末からのアクセスのみ許可してVPN上で通信することで、第三者からの不正なアクセスを防止できます。
社外からの社内ファイルサーバーへのアクセス
社内ファイルサーバーと、サーバーにアクセスできる端末に固定IPアドレスを割り振ります。すると社内ファイルサーバーへアクセスできる端末が制限されるため、不正アクセスが防げます。
Webカメラによる遠隔監視
常に同じ固定IPアドレスをWebカメラに割り振っておくことで、遠隔地からリアルタイムで監視が行えます。常に同じIPアドレスを割り振っていない場合、インターネットの通信障害が起きたりWebカメラの再起動を行ったりした際に、IPアドレスが変わっているため接続ができず、リアルタイムでの監視が難しくなります。そのためWebカメラのように都度リアルタイム性が求められるサービスやシステムでは固定IPアドレスを設定することが望ましいとされます。
自社運営のWebサイトの提供
企業でクラウドサービスやWebサイトを運営する際には、サーバーに固定IPアドレスを割り振ります。割り振ることで、自社が提供するクラウドサービスやWebサイト上に、一貫したアクセスポイントができるため、多くのユーザーがアクセスしやすくなります。また固定IPアドレスを使用することで、ユーザーがDNS(ドメイン)の変更や更新による影響を受けずに、クラウドサービスやWebサイトにアクセスできます。
固定IPアドレスを利用する方法
固定IPアドレスを利用するには、利用中または利用する予定のプロバイダーに問い合わせ、固定IPアドレスを取得します。さらに端末への設定は主に企業や利用者が行います。
固定IPアドレスの取得方法
利用中または利用する予定の、インターネットプロバイダーに固定IPアドレスを申し込みます。プロバイダーによって利用できる固定IPアドレスの数が異なるため、事前に確認が必要です。
【OS別】固定IPアドレスの確認方法
Windowsの場合
- キーボードの「Windows」キーと「R」キーを押す
- 「ファイル名を指定して実行」ウインドウに「cmd」と入力し「OK」をクリックする
- コマンドプロンプトのウインドウに「ipconfig」と入力し「Enter」キーを押す
- 表示された一覧のIPv4(IPv6)アドレスの値が固定IPアドレス
MacOSの場合
- 画面右上のアップルマークから「システム環境設定」を開く
- ネットワークのアイコンをクリックする
- 「Ethernet」を選択する
- IPアドレスが表示される
固定IPアドレスの設定方法
Windowsの場合
- キーボードの「Windows」キーと「R」キーを押す
- 「ファイル名を指定して実行」ウインドウに「ncpa.cpl」と入力し「OK」をクリックする
- 「ネットワーク接続」ウインドウ一覧の固定IPアドレスを設定する「イーサネット」などを右クリックする
- メニュー一覧の「プロパティ」をクリックする
- 「イーサネットのプロパティ」のチェックリスト一覧の「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択し「プロパティ」ボタンをクリックする
- 「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)のプロパティ」ウインドウの「次のIPアドレスを使う」「次のDNSサーバーのアドレスを使う」に必要な項目を入力する
MacOSの場合
- 画面右上のアップルマークから「システム環境設定」を開く
- ネットワークアイコンをクリックする
- 画面の右側で設定したいネットワーク接続をクリックし、詳細をクリックする
- 「TCP/IP」をクリック
- 「IPv4を構成」のポップアップメニューをクリック
- 「手入力」を選択してから、IPアドレスフィールドにあらかじめプロバイダから指定された固定IPアドレスを入力する
固定IPアドレスは不正アクセス防止のために必須な不変のIPアドレス
固定IPアドレスは、端末を再起動しても再接続しても変わらない不変のIPアドレスで、契約するプロバイダーに問い合わせることで利用できます。そのためアクセスできる端末のIPアドレスを指定することで、サイバー攻撃のひとつである不正アクセスを遮断できます。しかし固定IPアドレスはプロバイダーが提供するオプションプランである場合がほとんどなため、利用するには追加料金がかかることがあります。固定IPアドレスを割り振る必要のない端末と区別することで、オプション料金を減らしてコスト削減に努めることも検討が必要です。