インターネットを高速化するには?原因別の主な対処方法 3分でわかる!無線LANミニ知識

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業務に使用する資料のダウンロードや研修動画の視聴中など、インターネットの通信速度が遅い場合、業務に支障をきたすことがあります。インターネットの通信速度が遅い原因は、主に接続機器・端末(デバイス)・回線(ネットワーク)・プロバイダーの事業者にある場合がほとんどです。はじめに、どこに原因があるのかを確認し、対処法を実行することでインターネットの通信速度が改善される場合があります。その代表的なおすすめの改善方法について紹介・解説していきます。

インターネット接続を高速化する方法【接続機器が原因の場合】

インターネットの通信速度が遅い場合、接続機器に原因があるケースが多いです。Wi-Fiは無線による電波通信に頼った通信方法なため、障害物や機器の設定などに大きく影響を受ける場合があるのです。

ルーターやモデムに再度接続し直す

有線LAN・無線LANを問わず、お手持ちのルーターやモデムなどの通信機器を再起動させます。ルーターやモデムの電源を一旦切って入れ直し、端末に接続し直すことでインターネットの速度が安定し快適になる可能性があります。

Wi-Fiルーターの利用環境を改善する

Wi-Fiルーターの設置場所を変更します。障害物があると電波がさえぎられて速度が不安定になる可能性があるため、接続端末との間に障害物が無い場所に置きます。また電波干渉が起こりにくい場所に設置する方法も効果的です。例えば電子レンジの近くなどは電波干渉が起こりやすいため設置を避けたほうが良いでしょう。またWi-Fi中継機を導入する方法があります。中継機とは、Wi-Fiルーターから受け取った電波をより広範囲に広げてくれる機器で、Wi-Fiルーターと接続端末との距離が遠い場合に効果的です。

Wi-Fiルーターやモデムの規格を変更する

インターネット技術は日々目まぐるしい進化を続けており、新しい通信規格ができることがあります。Wi-Fiルーターやモデムにも規格があり、古い場合はインターネットの速度が遅くなります。お手持ちの機器の規格を確認し、古い場合は新しい規格に対応した機器に買い替えましょう。
一般的な目安として、新しい規格になるほど回線速度が速くなります。具体的には、機器の包装パッケージか機器のラベルに記載された最大通信速度の規格を確認しましょう。IEEEから始まるアルファベットと数字で構成された文字列で、記載された文字列から機器の最大通信速度が判明します。現在は7種類あり、それぞれの最大通信速度は下記のとおりです。

IEEE802.11a  54Mbps
IEEE802.11b  11Mbps
IEEE802.11g  54Mbps
IEEE802.11n  600MbpsWi-Fi4
IEEE802.11ac  6.9GbpsWi-Fi5
IEEE802.11ax  9.6GbpsWi-Fi6
IEEE802.11be  46GbpsWi-Fi7

数字が大きくなるほど早くなり、MbpsよりGbpsのほうが高速通信と言えます。20244月時点では、Wi-Fi7とよばれるIEEE802.11beが最も速い規格となっています。ストレスなくインターネット通信を行いたい場合は、IEEE802.11acWi-Fi5)以上が望ましいでしょう。

ファームウェアを更新する

Wi-Fiルーターのサービス事業者は、常に安定した通信スピードでインターネットができるよう定期的にファームウェアの更新を行っています。インターネットの通信速度が遅いと感じたら、ファームウェアが最新バージョンの状態になっているかを確認します。最新の状態かを確認したり手動で更新したりする手間が省けるため、あらかじめファームウェアの自動更新設定をONにしておくとよいでしょう。

無線から有線接続に変更する

無線通信は電波に頼った通信であるため、電波干渉や障害物の影響を受けます。一方で有線通信は物理的にケーブルを接続することでインターネットを利用するため、通信速度が安定しやすいです。特に大容量のデータを扱う場合や、安定した通信が必要な場合には、有線接続を選択し、ネット環境を変更することで解消する場合があります。

DNS設定を見直す

DNS(Domain Name System)設定を見直す方法も有効です。DNSは、ウェブサイトのドメイン名をIPアドレスに変換する役割を果たしており、適切なDNSサーバーを使用することで通信速度の向上が期待できます。一般的に、インターネットのプロバイダーから提供されたDNSサーバーよりも公共のDNSサーバーを利用したほうが、通信速度が改善されることがあります。

接続周波数を変更する

Wi-Fiルーターの設定画面にアクセスして、接続周波数を変更することで改善される場合があります。一般的には、2.4GHz5GHz2つの周波数帯が利用できます。2.4GHzは広範囲に電波を届けることができますが、速度は遅めです。一方、5GHzは狭い範囲にしか電波が届きませんが、速度は速いです。通信速度が遅いと感じたら、もう片方の周波数に切り替えて接続し直します。

接続方式をIPv6に変更する

インターネットの接続方式をIPv6に変更することで、通信速度が改善されることがあります。IPv6は新しいインターネットプロトコルであり、より効率的な通信ができます。具体的には従来のIPv4と比べてアドレス空間が広く、パケット処理もスムーズに行われるため、通信速度の向上が期待できます。IPv6に変更する際には、ルーターやモデムの設定を変更する必要がありますが、多くのプロバイダーがIPv6に対応しており、簡単に切り替えられます。

インターネット接続を高速化する方法【端末に原因がある場合】

接続機器に不具合が感じられないときは、端末に原因がある可能性があります。端末の原因の切り分け方について上から順番に試しましょう。

端末をインターネットに再接続する

PC(パソコン)やスマートフォンなど、インターネットに接続している端末に何らかの問題がある場合、再起動で解決することがあります。接続機器の再接続と合わせて行うと良いでしょう。

端末のメモリの容量を増やす

使っていないアプリを削除します。インターネット通信を行う際は端末のメモリを使用しているため、容量を増やすことで速さが改善されることがあります。またどうしても削除できない、これ以上は増やしようがないといった場合は、メモリを増設します。

端末のスペックを上げる

新しい機種やシステムであるほどインターネットの通信速度は高い傾向にあるため、PCやスマートフォンを新しいものに買い替えます。またすでにお手持ちのPCやスマートフォンでも、OSやブラウザをアップデートすることで改善される場合があります。

接続する端末の数を減らす

一度に接続する機器の数が増えるほど回線速度が低下するため、使用しない端末のWi-Fi接続を切るなど、接続機器を見直します。

ブラウザのキャッシュをクリアする

インターネットで通信をする際、キャッシュという不要なメモリが溜まっていきます。キャッシュによりメモリが圧迫されると通信速度が低下することがあるため、キャッシュを定期的に削除します。

セキュリティソフトを無効化する

セキュリティソフトは、インターネット通信を監視し、悪意のあるプログラムやウイルスから保護するために通信データをスキャンします。そのため、セキュリティソフトが作動している間は通信速度が低下することがあります。セキュリティソフトの設定によっては、通信データのスキャンを最適化できる場合もあるため、設定を見直して通信速度への影響を最小限に抑えます。また設定ができない場合はセキュリティソフトを無効化する方法も効果的です。ただし不正アクセスやウイルス感染のリスクが高まるため、通信速度が安定したらすぐに有効化するよう注意が必要です。

インターネット接続を高速化する方法【回線自体に原因がある場合】

インターネット回線を乗り換える

現在契約しているインターネット環境を見直し、光回線を導入します。回線だけでなく接続機器の見直しも行うと良いでしょう。契約しているプロバイダーを変更することで通信速度の改善が期待できます。

自分では高速化できないインターネット速度の低下原因

接続機器や端末、プロバイダーを見直してもインターネットの通信速度が改善されない場合は、外部に原因がある可能性が高いです。自身と同様に、通信速度の遅延を感じている人がほかにも大勢いないか確認します。

通信障害が起こっている場合

工事や災害などの影響で、通信障害により接続速度が低下したり、不安定になったりすることがあります。プロバイダーや回線業者の公式サイトで、通信障害に関するお知らせがないか、また復旧の見込み時間について確認します。

サーバーへのアクセス集中が起こっている

インターネット通信は、利用者が多ければ多いほど渋滞のような状態が起こり、通信速度が低下します。夜間など多くの人がスマホやPCを利用する時間帯はアクセスが集中しやすいでしょう。また期間限定のキャンペーンやコンサートチケットの販売時間などは、アクセスが集中するため特定のWebサイトだけ速度が遅くなることもあります。

インターネットを高速化するなら1つずつ原因の切り分けが必要

リモートワークをしながらオンラインで会議をしたり、業務中に調べ物をしたりする際に、インターネットの通信速度が遅いと感じることがあります。対処法は複数ありますが、まずはインターネットの通信に関与する物のうち、どこに原因があるのかを調査しましょう。接続機器端末回線プロバイダーの事業者の順番に、原因の切り分けを行います。通信速度が遅くなっている原因が分かれば対処法も分かるため、チェックリストなどを作成して順番に確認するとよいでしょう。