出荷検品とは?方法別のメリット・デメリットとよくある課題 3分でわかる!無線LANミニ知識

流システムにおいて、出荷伝票を基にこれから出荷する商品に誤りがないか確認する業務を出荷検品といいます。従来の出荷検品は主に手作業で行っていたため、ヒューマンエラーの発生や遅延、人手不足による人的コストの増加などが課題でした。しかし、自動化やAI技術が発達したことにより、出荷検品の多くが自動化され、課題の解決につながっています。昨今における出荷検品方法の種類やそれぞれのメリットとデメリット、業務の課題について紹介します。

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出荷検品の基礎知識

物流システムの要である出荷検品は、誤出荷や不良品の排除につながる非常に重要な検査です。昨今では自動化技術の向上から、出荷検品の運用自体のヒューマンエラー防止率も上がっています。

出荷検品とは?

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出荷検品とは出荷作業の前に行う重要な検査のことで、主に注文内容とピッキングされた商品を照合し、品番や数量が正しいか、不良品や破損がないかを確認します。

出荷検品により誤出荷や納期遅延を防ぎ、顧客満足度や企業の信頼性が維持できるでしょう。出荷検品を行う方法には目視検品、バーコード検品、RFID技術の活用などがあり、積極的に利用することでヒューマンエラーを減少させ、作業効率が向上します。

企業が出荷検品を行う理由

・誤出荷の防止

出荷検品は、誤出荷の防止に役立ちます。商品が顧客に届けられる前に発注内容と照らし合わせて品番や数量を確認し、誤って異なる商品を発送するリスクを軽減させます。そのため顧客からのクレームや返品を防ぎ、企業の信頼性維持につながります。またダブルチェックや自動化システムの導入により、ヒューマンエラーを減少させるための工夫が可能です。

・不良品の排除

製品が顧客に届く前の最終的な品質チェックを行うため、破損や欠陥のある商品をあらかじめ排除して顧客満足度を維持し、企業の評判を守ります。具体的には、外観や機能の検査を通じて、製品が規定の基準を満たしているかを確認します。

・在庫管理の精度向上

出荷検品は、商品が正確にピッキングされているかを確認し、在庫データと連動して行われるため誤出荷や在庫のズレを防ぎます。リアルタイムで在庫情報が更新できるため、実在庫と理論在庫の一致が保たれて無駄な発注や廃棄を防ぎます。またバーコードやQRコードを用いたデジタル化により、ヒューマンエラーを減少させ、効率的な在庫管理システムが実現できるでしょう。

出荷検品を行う方法と各メリット・デメリット

ロボットやAI技術の発達のおかげで、従来の手作業による出荷検品作業からさまざまな検品方法が登場しています。各方法の概要と、それぞれの導入メリットとデメリットについて解説します。

リスト検品

出荷指示書(ピッキングリスト)を見ながら実際の商品を目視で照合し、正確性を確認する検品方法で、倉庫管理システム(WMS)を使用しないアナログな手法として広く用いられています。作業には納品書や出荷指示書の準備、目視による確認、ダブルチェックの実施、問題の報告と修正が含まれます。

・メリット

特別な機器が不要なため、コストが低く最も導入しやすい方法といえます。

・デメリット

物量が多くなると作業が属人化し、非効率になる可能性があります。作業員により質に偏りが発生するおそれもあるでしょう。また目視による確認はヒューマンエラーのリスクも伴うため、注意が必要です。

ハンディターミナル検品

ハンディターミナルとは、商品の入出荷時に行われる検品作業を効率化するために使用される携帯型情報端末のことです。バーコードやQRコードなどのタグを読み取る機能を持ち、商品情報を瞬時に確認し、数量や品質のチェックを行えます。昨今では特にネット通販の増加に伴い、ハンディターミナルを用いた検品作業の重要性は高まっています。

・メリット

持ち運びがしやすいうえ、リアルタイムでの情報更新やペーパーレス化が挙げられます。特にバーコードをスキャンするだけで自動的に情報が確認できるため、従来の目視や手作業に比べてミスが大幅に減少します。また検品実績がリアルタイムでシステムに反映されるため、在庫状況を常に最新の状態で把握でき、欠品や過剰在庫のリスクを軽減できます。

・デメリット

導入時に製品や荷物へ、機器に対応したバーコードを貼り付ける作業が発生します。また機器の操作性により検品作業の質が左右されることがあり、画面が小さく視認性が悪い場合もあります。そのため使い勝手の良い機種を選ぶようにする必要があるでしょう。また法定耐用年数は5年で、5年が経過すると経費として計上できなくなるため、5年ごとに新しい機器を導入する必要があります。

画像検品

AIの画像認識技術を用いて出荷検品を行います。カメラで製品の外観や欠陥を自動的に検出し、不良品の市場流出を防ぎます。従来のハンディターミナル検品や手作業による検品に比べて検査速度が大幅に向上し、人的ミスが減らせます。ベルトコンベヤーの環境を整備すれば、出荷検品作業のほとんどが自動化され、人件費を削減しつつ正確に不良品を排除できます。さらにディープラーニング技術を用いた画像認識システムなら、大量のデータから特徴を学習し、製品内の異常や欠陥をリアルタイムで検出できるでしょう。

・メリット

バーコードのない商品でも検品できるため、荷物に対応するバーコードやQRコードを貼り付ける手間がありません。また精度の高い検品を高速で行うことが可能で、出荷検品作業のほとんどを自動化できます。

・デメリット

システムやベルトコンベヤーの導入など、初期投資が高額になりやすいです。また見た目が似ている商品は、システムにとって判別が難しく、不向きな場合もあります。

重量検品

製品や部品の重さを測定し、あらかじめ登録された製品の重量と比較することで、品質管理や不良品の排除を行う方法です。商品の重さが一定であることが求められる場合に特に効果的です。画像認識と組み合わせることで、さらに高精度な出荷検品が行えるでしょう。

・メリット

重量という数字に沿って検品が行われるため、数量ミスを効果的に検出できます。自動化により作業が比較的簡略化されるため、ヒューマンエラーを防ぐうえに人件費のコスト削減にもつながります。

・デメリット

機種によっては同じ重量の場合、異なる商品を区別できないことがあり、軽量の商品ならば検品精度が低下する可能性があります。そのため、あくまである程度の重量があり、重量を均一にそろえなければならない場合などに用いるとよいでしょう。

POS検品

POS検品とは、レジ型のPOS(販売時点情報管理)システムを利用して在庫の検品を行う方法です。POSは売上管理・在庫管理・顧客管理・オーダー管理などがシステム内に一括でまとめられており、小売業などで幅広く活用されています。

検品に用いることで、リアルタイムで売上や在庫を把握し、効率的な倉庫管理が実現できます。具体的には、商品や段ボールに添付されたバーコードを専用のレジスキャナーで読み取ることで在庫の数量や種類を確認します。

・メリット

バーコードやQRコードを瞬時に読み取ってくれるため、短時間で精度の高い検品処理が可能です。また販売管理システムとデータ連携することで、出荷検品と同時に在庫管理や発注管理も同時に行えます。

・デメリット

POSのレジ型検品代を複数導入する必要があるため、大きな初期費用が発生します。またハンディターミナルとは違い、検品場所が固定されているため持ち運びができない点がデメリットといえます。

出荷検品における企業の主な課題

人手不足は年々深刻化しており、物流業界においても例外ではありません。従来、出荷検品は人の手により目視などで行われていました。しかし昨今では自動化を実現させるシステムが登場してはいるものの、依然として課題は残されています。

人的ミスが発生する可能性がある

検品作業は通常、目視や手作業で行われるため正確性に乏しく、品番の見間違いや商品の取り違えなどが発生していました。経験豊富な従業員でも、慣れからくるミスが起こることがあります。ヒューマンエラーは誤出荷や納期遅延を引き起こし、顧客満足度の低下につながる可能性があります。またシステムや機器を用いる場合でも、故障やトラブルによる影響を受けるリスクがあります。

人手が足りない

出荷検品における人手不足は深刻な課題の一つで、業務の効率性や品質管理に直接的な影響を与えます。少ない人員で膨大な量の検品を行わなければならない現場もあり、負担の増大からミスが発生し返品やクレームの原因となるでしょう。

人手不足の主な要因として、少子高齢化による労働力人口の減少や、商品の種類や取引先が多様化したことによる業務負担の増加があります。対策として、アウトソーシングやデジタル化、自動化技術の導入を進めることで効率化を図る企業が増えています。

コストがかさむ

出荷検品の業務を自動化するためにはシステムの導入が必要ですが、大規模なシステムほど大きな初期費用が発生します。さらに従業員が出荷検品作業を行う場合も、人件費が発生するうえ、正確な検品を行うためには作業者の育成が必要です。システム導入の有無にかかわらず、ランニングコストや労力が必ず発生します。

出荷検品を自動化して早急にコスト削減・効率化を図りましょう

出荷検品は、ハンディターミナルやPOSレジなどで多くの自動化に成功しています。また複数のシステムを組み合わせることで、入荷も含めて在庫の棚卸から梱包を得て出荷作業まですべて自動化することも可能です。自動化すればするほどヒューマンエラーや人件費の削減ができますが、一方で初期費用やランニングコストが発生する点にも注意が必要です。自社にあったシステムで、コストをおさえた自動化を実現させましょう。

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