企業が無線LAN導入時に行うセキュリティ対策は?リスクと手順も解説! 3分でわかる!無線LANミニ知識

この記事で分かること ・企業が抱えるセキュリティリスクの種類 ・企業が行うべきセキュリティ対策 ・セキュリティ対策の流れ

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無線LANの導入を検討する中でセキュリティ面に不安を感じていないでしょうか。ケーブル不要のメリットがある反面、適切な対策を怠ると情報漏洩や不正アクセスなど深刻なリスクを招く恐れがあります。

本記事では、企業が無線LAN導入時に直面する主なセキュリティリスクとその対策、さらに具体的な導入の流れまで徹底解説します。適切な対策で、安全な無線LAN環境を構築しましょう。

企業の無線LAN導入時に抱える主なセキュリティリスク

無線LANは便利な反面、電波を介して通信するという特性から、有線LANとは異なる固有のセキュリティリスクが存在します。導入時には、以下のようなリスクへの対策が不可欠です。

第三者による無断利用

LANケーブルにおける有線接続と違い、電波の届く範囲であれば、社外の第三者が企業の無線LANに不正接続を試みる可能性があります。認証設定が不十分な場合、周辺エリアから簡単に接続され、通信帯域を占有されることになりかねません。

第三者による情報の不正取得・漏洩

暗号化が不十分な無線LANでは、通信内容が外部から傍受されるリスクがあります。電波は壁を超えて建物外にも届くため、適切な保護がなければ機密情報や個人情報が第三者に盗み取られる恐れがあるのです。特に経営戦略や新製品情報などが流出すると、会社間の信頼喪失につながります。

通信妨害

無線LANは、意図的な電波妨害や同じ周波数帯を使用する他の機器からの干渉を受けやすい特性があります。妨害電波の発生によって通信が途絶え、業務が突然中断するリスクが存在します。特に重要なリアルタイム通信においては、通信品質の低下が業務に深刻な影響を与える可能性があります。

不正アクセスによるデータ改ざん・破壊

無線LANへの不正侵入が成功すると、保存データの改ざんや破壊といった深刻な被害が発生する恐れがあります。顧客情報や財務データなどの改変は、取引先との信頼関係を損なうだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。

DDoS攻撃

無線LANが乗っ取られると、DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)の踏み台として悪用されるリスクがあります。企業のネットワークリソースが攻撃に利用され、システム全体がダウンする可能性が想定されます。

ウイルス感染

無線LANに接続する未認証のデバイスを通じて、マルウェアやランサムウェアが社内ネットワークに侵入する危険性があります。一度感染すると、ネットワーク全体に急速に拡散し、データの暗号化や窃取など重大な被害をもたらす可能性があります。

従業員による私的利用(シャドーIT

企業の無線LANを通じて、従業員が未承認のアプリケーションやクラウドサービスを私的に利用するシャドーITのリスクがあります。業務効率を高める意図であっても、セキュリティポリシーに違反する行為は情報漏えいや脆弱性の原因となりえます。

企業の無線LAN導入時に行うべき主なセキュリティ対策

セキュリティリスクから企業の重要な情報資産を守るためには、技術的・運用的な対策が不可欠です。企業が無線LAN導入時に実施すべき主な対策を以下で詳しく解説します。

強固なパスワードや認証方法の設定

無線LANの管理者パスワードは、初期設定のままでは簡単に特定される危険性があります。英数字・記号を組み合わせた12文字以上の複雑なパスワードに変更し、定期的に更新することが重要です。より高度な手法としてはIEEE 802.1x認証(EAP-TLS)の導入が効果的です。この規格はクライアント端末とRADIUSサーバー間で証明書を相互に検証するため、なりすましが極めて困難になります。

強固な暗号化方式の採用

無線LANの暗号化方式には、セキュリティレベルの異なるWEPWPAWPA2WPA3の主に4種類が存在します。WEPWPAは技術的な欠陥が見つかっている為、あまり推奨されません。企業環境では最低でもWPA2AES暗号使用)を採用し、可能であれば最新のWPA3への移行を検討すべきです。

ゲスト用ネットワークの構築

訪問者や取引先向けに、社内システムとは完全に分離されたゲスト用ネットワークを構築することが重要です。ゲストネットワークでは、インターネットのみを許可し、接続可能時間や帯域を制限することで、安全性を高められます。

法人用(業務用)のネットワーク機器の利用

企業の無線LAN環境には、家庭用機器ではなく専用の企業向け機器を導入すべきです。企業用の機器の多くはセキュアな機能を備え、複数アクセスポイントの一元管理や詳細なアクセス制御が可能です。

エンタープライズ認証の利用

セキュリティ強化を求められる企業環境では、IEEE 802.1X認証を基盤としたエンタープライズ認証の導入が効果的です。RADIUSサーバーと連携し、ユーザーごとに固有の暗号鍵を生成することで、なりすましや傍受のリスクを大幅に軽減できます。

ファイアウォールの導入

無線LANと社内ネットワーク間にファイアウォールを設置することで、不正アクセスや侵入の試みを検知・遮断できます。次世代ファイアウォールやUTM(統合脅威管理)製品を導入すれば、ウイルス対策やコンテンツフィルタリングも一元管理が可能です。

通信の暗号化

無線LAN上の通信には、通信経路の暗号化に加えて、重要データそのものの暗号化も実施すべきです。VPNSSL/TLSといった技術を活用したエンドツーエンド暗号化により、万が一通信が傍受されても情報漏えいのリスクを抑制できます。

アクセス制御の実施

ネットワークへの接続を許可するPCを制限するアクセス制御は重要です。MACアドレスフィルタリングは単体では不十分ですが、デバイス認証とユーザー認証を組み合わせ、接続デバイスの状態検査(検疫)も実施することで、セキュリティレベルを大幅に向上させることができます。

通信記録のログの収集・保存

無線LANの利用状況を常時監視するため、接続ログや通信記録を自動的に収集・保存する仕組みが必須です。不審なアクセスパターンや異常トラフィックを早期に発見できるだけでなく、セキュリティインシデント発生時の原因究明にも役立ちます。

自動アップデート機能の有効化

無線LAN機器のファームウェアには、セキュリティ脆弱性が発見されるたびに修正プログラムがリリースされます。自動アップデート機能を有効化することで、常に最新のセキュリティ対策が適用された状態を維持できます。

従業員のセキュリティ教育

技術的な対策だけではなく、ネットワークを利用する従業員の意識向上も重要です。パスワード管理の基本、不審なWi-Fiスポットの見分け方、ソーシャルエンジニアリング対策など、定期的なセキュリティ教育を実施しましょう。

企業が無線LAN導入時に行うセキュリティ対策の流れ

無線LANの導入は一度設定して終わりではなく、計画から運用までの一連のプロセスを適切に管理することが重要です。ここでは、企業が無線LANを安全に導入・運用するための3つのステップを解説します。

Step1.現状の把握

効果的な無線LANセキュリティ対策の第一歩は、自社の現状を正確に把握することです。無線LANの使用場所やアクセスポイントの設置場所、電波環境も重要な要素となります。また、取り扱う情報の機密レベルを明確にし、法令順守の観点からも必要な保護レベルを定義し、対策の優先順位を決定します。

Step2.無線LANの要件定義の設定

無線LANの導入目的を明確に定義することが、適切なセキュリティ対策の第一歩です。単なる社内ネットワーク拡張なのか、IoTデバイス接続なのかによって必要な対策が異なります。目的に応じて、必要なカバレッジエリアや同時接続台数、適切な暗号化方式や認証方法などのセキュリティ要件を具体化します。さらに、目的に最適な機器やサービスプランを選定することで、必要なセキュリティレベルを確保できます。

Step3.セキュリティ対策の実施と運用

計画に基づいた適切なセキュリティ対策の実行は、無線LAN導入の成否を左右します。機器の選定・設置後は、SSIDに付与するパスワード設定、暗号化方式の適用、アクセス制限の構成など、具体的な対策方法を施していきます。初期設定完了後は、脆弱性診断ツールを用いた徹底的なセキュリティチェックを行いましょう。さらに、定期的なログ分析からセキュリティ対策の効果を継続的に測定し、新たな脅威に対応するための改善サイクルを確立することで、長期にわたり安全性を維持できます。

無線LANセキュリティ対策における企業の成功事例と失敗から学ぶポイント

多くの企業が直面した課題や解決策を知ることは、同じ失敗を繰り返さないための貴重な知見となるでしょう。例えば、パスワード管理の甘さから情報漏えいに発展したケースや、逆に堅牢な多層防御によってサイバー攻撃を阻止できた事例など、実際の出来事には学ぶべき教訓が詰まっています。

無線LANセキュリティに関する相談なら、株式会社フルノシステムズまでお気軽にご相談ください。

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