持続可能な林業の実現に向けた Wi‑Fi HaLow™ 活用の取り組み(前編)
徳島県那賀町の現状と課題 技術レポート

IoT推進室 室長 川地耕二

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林業従事者の減少は、全国の林業地域が抱える共通課題です。
私たちフルノシステムズは、こうした地域課題に向き合うため、林業の町で毎年実証実験を重ねてきました。
本記事では、その取り組みから得られた成果や、他地域でも活用できる示唆を紹介します。 

林業の町、徳島県那賀町が抱える課題~人口減少に伴う林業従事者の減少

徳島県那賀町のについて

徳島県南部に位置する那賀町(なかちょう)は、町の北西部に四国山地、南部に海部山脈がそびえ、標高1,000メートル以上の山々に囲まれた急峻な山地で形成されています。地域の9割以上が森林の中山間地であり、杉を主体とした250年にわたる林業生産の歴史を有しています。豊富な森林資源を持つ那賀町の良質な木材は、那賀川下流から京阪神地域等に運ばれ、木材消費の需要を支える一大産地として活況を呈していました。

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現状データと課題 

一方で、那賀町の人口は、昭和55年の14,360人に対し、平成27年時点で8,343人まで減少。また、15歳以上の人口比率をみると、65歳以上の人口比率が平成に入って急激に増加し、平成27年時点で生産年齢人口(15歳~64歳)を上回りました。過疎化による人口減少と高齢化が進んでいます。

人口減少とともに林業就業者数の減少も続き、昭和55年の860人に対し、平成17年では139人と1/6にまで激減しています。それに比例して、木材生産量も昭和55年の152,250㎥に対し、平成17年には50,819㎥まで減少し、基幹産業であった林業の衰退が深刻な問題となっていました。林業従事者の減少と高齢化が、林業の持続可能性を脅かす大きな課題となっていました。

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 出典元:R2.2.5 森林シューセキ!事例報告会

課題解決のために。那賀町が始めた取り組み

この状況の打開のため、那賀町では、県や様々な関係機関、事業体と連携して、平成237月に林業活性化を目的とした「那賀町林業活性化推進協議会」を設立し、林業従事者の減少(高齢化)、林業の厳しい雇用環境、林業関連産業の衰退といった問題の克服に向かって活動されています。平成2312月には那賀町マスタープランとして具体的な数値目標を設定し、その達成のために以下のアクションプログラムを制定されました。

① 「森づくり」のための体制づくり

② 事業地確保対策

③ 機械化と路網整備の推進

④ 人材育成と林業事業体の支援

⑤ 原木の流通体制の整備

⑥ 木材の利用促進

実証実験を行う背景と理由

労働環境改善に向けた取り組み

足場の悪い急斜面での作業、1トンにもおよぶ木材の取り扱い、刃物を使用することからの事故リスクから、林業は労働災害発生率が非常に高い「きつい・危険な」仕事と言われています。実際にデータを見ると、林業の死傷年千人率(1年間の労働者1,000人当たりに発生した死傷者数の割合)は下図のように全産業の7.7倍となっています。

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出典元:森林ヒューマン・ファクター研究所 山田 容三 資料

約30名の若手林業従事者「山武者」

那賀町でも、後継者の確保・育成、高性能林業機械の導入などの取り組みを進められています。
町内の約30名の若手林業従事者が事業体の垣根を越えて「山武者」を結成。林業技術向上の勉強会やイベント参加などを通して交流を図っています。また、徳島市内の『とくしま林業アカデミー』で、研修料無料で1年間の技術研修を受けてから就業できる制度もあります。

そして、伐採・集材などの作業の負担軽減や効率化を図るため、高性能 林業機械の導入や検証を進め、オペレーターも育成しています。さらに、徳島県版ドローン特区であることを活かし、架線作業や苗の運搬などの実証実験を行うなど、先進的な取り組みも進められています。

危険の伴う「集材作業」。課題はどう安全を確保するか?

伐採した木材を山から運び出す「集材作業」は、林業の現場で最も危険を伴う作業の一つです。高齢化や人手不足の影響が大きく、安全確保が大きな課題となっています。
では、この危険と負担の大きい作業をどのように改善できるのか。後半では、その問いに向き合った実証実験の取り組みを詳しくお伝えします。