ロケーション管理とは?種類やメリット・デメリット、改善方法 3分でわかる!無線LANミニ知識
この記事でわかること
・ロケーション管理の方法である「固定ロケーション」「フリーロケーション」「ダブルトランザクション」それぞれの概要
・効率の良いロケーションの付け方
・ロケーション管理を導入するメリット・デメリット
・ロケーション管理の主な改善方法
ロケーション管理とは、倉庫や店舗内で商品の場所を把握するために、各保管場所に一意の住所(ロケーション)を割り当てて管理する方法です。ロケーション管理の活用で商品の所在を明確にすれば、入荷・出荷作業などの効率が上がるでしょう。
主な方法には、特定の商品を常に同じ場所に保管する「固定ロケーション」、空いているスペースに商品を自由に保管する「フリーロケーション」、双方の利点を活用した「ダブルトランザクション」があります。各管理方法のメリットとデメリット、より業務効率を上げつつコストを下げるためのおすすめの改善方法について解説します。
ロケーション管理の種類
ロケーション管理には、さらに下記3種類の管理方法があります。それぞれメリットとデメリットがあるため、自社の倉庫に合った方法で管理しましょう。
・固定ロケーション
・フリーロケーション
・ダブルトランザクション
固定ロケーション
固定ロケーションは、商品の保管場所を種類ごとに設定する在庫管理方法です。商品ごとにロケーションが決まっているため、作業者は商品の位置を記憶しやすくなり、作業効率が向上します。
固定ロケーションのメリット
商品の場所が種類ごとに決まっているため保管場所を把握しやすいです。入荷や出荷作業の際も作業者は商品をすぐに見つけられるため、業務時間の短縮につながるでしょう。また在庫数を管理しやすい点も挙げられます。不良在庫や欠品が出たら一目でわかるため、迅速に補充ができ欠品リスクが減らせます。
固定ロケーションのデメリット
商品ごとに決まった場所へ保管しなければならないため、保管スペースを無駄にするおそれがあります。在庫が少ないときでも、通常と同じスペースを専有することになります。また一時的な在庫増加などが起きても、レイアウトや配置を柔軟に対応するのが難しい点が挙げられます。商品が追加されるたびに倉庫内全体のレイアウトを変更しなければならず、ロケーション情報も更新する必要があります。
出荷検品とは出荷作業の前に行う重要な検査のことで、主に注文内容とピッキングされた商品を照合し、品番や数量が正しいか、不良品や破損がないかを確認します。
出荷検品により誤出荷や納期遅延を防ぎ、顧客満足度や企業の信頼性が維持できるでしょう。出荷検品を行う方法には目視検品、バーコード検品、RFID技術の活用などがあり、積極的に利用することでヒューマンエラーを減少させ、作業効率が向上します。
フリーロケーション
フリーロケーションは、倉庫内で商品を特定の場所に固定せず、空いているスペースに自由に保管する在庫管理方法です。商品の在庫数や種類の数に応じて空いている場所に置くため、スペースを有効活用できます。
フリーロケーションのメリット
空いているスペースを有効活用でき、倉庫のキャパシティを最大限に利用できます。また携帯型端末のハンディターミナルとの相性がよく、あらかじめ商品とロケーション情報を登録しておけば、経験の浅い作業者でも簡単に商品が探せるため新人教育の負担を軽減できるでしょう。さらに商品ごとの棚割りが不要なため、商品の入れ替え頻度が高い場合でもスムーズに対応できます。
フリーロケーションのデメリット
商品の保管場所が固定されていないため、ハンディターミナルなどの在庫管理システムがない場合は、作業員が商品を探す際に時間がかかることがあります。また商品を入庫するたびにロケーション情報を記録する必要があり、情報の入力ミスが多発した場合は混乱を招く可能性があります。そして商品の配置が流動的であるため、実際の在庫数を一目で把握することが難しいでしょう。最後に、フリーロケーションは在庫管理システムと非常に相性がよいですが、システムを導入する際は構築にコストが発生します。
ダブルトランザクション
ダブルトランザクションは、倉庫内にストックエリアとピッキングエリアを設け、商品を分けて管理する方法です。ピッキングエリアには出荷頻度が高い商品を少量配置し、在庫が一定数を下回った際に、ストックエリアから商品を補充します。固定ロケーションとフリーロケーションの利点を組み合わせた方法ともいえるでしょう。
ダブルトランザクションのメリット
ピッキングエリアでは必要最低限の商品を置くため、作業者が商品を探す作業が短縮でき、作業効率が上がります。またストックエリアでは出荷頻度が少ない商品を置くため、倉庫内のスペースを有効活用できるほか、保管できる商品数を増やせます。また出荷頻度が高い商品は、ピッキングエリアというある程度決まったスペースに保管されるため、作業者の移動距離も短く効率が上がります。
ダブルトランザクションのデメリット
ピッキングエリアの在庫が不足する前に、あらかじめストックエリアから商品を補充する作業が必要です。補充が遅れると、ピッキング作業が滞り、出荷遅延や事故につながる可能性があります。ピッキングエリアとストックエリアの2つの場所を設けるため、ある程度のスペースが必要です。大型商品や、一度に多く出荷する場合には不向きといえるでしょう。
ロケーションの付け方
ロケーション管理をするには各商品にあらかじめ文字や番号などでロケーション(位置情報)を付与する必要があります。商品の置き方により、効率の良いロケーションの付け方が異なります。
平置きで管理する場合
商品を床や地面に直接置いて保管する方法で、パレットなどの荷役用作業台の上に置いて管理する場合もあります。平置きの場合は床に直接線を引いて商品に住所を割り当てます。重量があったりサイズが大きかったりする商品は、平置きで管理するケースが多いでしょう。
ラックを使って管理する場合
棚の段ごとにロケーションを設定して保管する方法です。棚のおかげで左右だけでなく上下とも商品が置けるため、平置きよりもスペースが有効活用できます。小さいサイズや軽い商品の管理に向いています。
ロケーション管理を導入するメリット・デメリット
ロケーション管理は、倉庫や店舗内で正確に商品の在庫や状態を把握するために不可欠です。さらに自社にあった方法を導入すれば、ピッキングの作業効率も大幅に向上するでしょう。ただしメリットと同時にデメリットもあるため、把握して対策を講じる必要があります。
ロケーション管理を導入するメリット
・作業効率が上がる
商品の保管場所が明確になるため、倉庫内での移動がスムーズになりピッキングの作業効率が上がります。特にピッキング作業が最も上がるロケーション管理は、商品の場所を固定する固定ロケーションです。
・在庫管理の精度が向上する
各商品が決められた場所に保管されている場合は在庫状態が一目でわかるため、在庫の誤差や紛失の減少につながります。棚卸の際にもズレが少なくなるでしょう。
・コスト削減につながる
ピッキングの作業効率が上がれば人員を増やす必要がなくなるため、人件費の削減につながります。倉庫のスペースが広くても、在庫管理システムの導入などでロケーション管理が行われていれば少人数での管理が可能です。
ロケーション管理を導入するデメリット
適切にロケーション管理を導入し倉庫業務の効率向上や人的コストの削減につなげるには、ある程度の設備投資が必要です。たとえば商品を管理するための棚の設置や、パレット、コンテナなどの購入が挙げられます。さらにハンディターミナルなどの在庫管理システムを導入する場合は、追加の費用を検討する必要があるでしょう。
ロケーション管理の改善方法
これから自社にあったロケーション管理を検討する、または現在すでに導入しているものの課題があり、運用を見直す必要があるといった場合、管理方法や商品の置き場所を変更することで、大幅に改善できる可能性があります。ここでは主な改善方法をご紹介します。
ロケーション管理の方法を変更する
現場のスタイルに合うロケーション管理方法を見直しましょう。たとえば固定ロケーションを採用し商品の置き場が不足する場合は、空いている場所に新しい商品を追加で入れるようにするなど、フリーロケーションの方法を組み合わせてみるとよいでしょう。
出荷の頻度に合わせて商品の置き場所を最適化する
出荷頻度を考慮してロケーションを設定すると、作業の効率化につながります。たとえば運び出すことが多い商品のロケーションを倉庫の出入り口付近に設置するなど工夫すれば、動線が短くなって作業効率の向上が期待できます。
類似商品の置き場所を変更する
なかには商品名や見た目が似た商品もあり、ピッキングミスや入力ミスの誘発につながります。そのようなときは似た商品同士の置き場所を話したり変更したりするだけで、ヒューマンエラーの防止に大いに役立ちます。
ハンディターミナルを利用する
小型携帯端末のハンディターミナルと在庫管理システムを導入することで、ヒューマンエラーの防止や業務効率の向上に大きくつながります。ハンディターミナルを用いた在庫管理は、主に商品やロケーションごとにバーコードを割り振り、ピッキング作業の際には機械でバーコードを読み取って管理します。商品別のロケーションや在庫状況などが自動で在庫管理システム内へ保管され、またほかのハンディターミナルともデータを共有できます。機械で瞬時にバーコードを読み取るため、手書きによる入力と比べてヒューマンエラーが大幅に減少するでしょう。昨今ではスマートフォン自体をハンディターミナルに変える在庫管理システムもあり、アプリをダウンロードすることで利用できます。
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ロケーション管理で業務効率を上げるなら在庫管理システムの導入を
ECサイトの人気により物流倉庫で抱える商品数が増加するなか、商品のロケーション管理は、業務効率の向上や業務時間の短縮に役立ちます。商品の置き方によって動線の簡略化や正確な位置情報の把握が実現できるうえ、保管効率も向上するでしょう。またハンディターミナルなどの在庫管理システムまたは倉庫管理システム(WMS)を導入すれば、ヒューマンエラーが大幅に減少します。自社にあったロケーション管理法を導入しましょう。