ネットワーク帯域幅とは?通信速度との関係、不足時の改善方法 3分でわかる!無線LANミニ知識

リモートワークが一般的になりつつある昨今、オンライン上でコミュニケーションがとれるWeb会議は必要不可欠なツールとなりました。しかし、ネットワーク環境によっては画面のフリーズや音声トラブルが発生することも珍しくありません。そして、これらの問題の原因の一つとして考えられるのが「ネットワーク帯域幅の狭さ」です。そこで今回は、ネットワーク帯域幅の意味や通信速度との関係を説明するとともに、ネットワーク帯域幅の目安、改善方法について解説します。

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ネットワーク帯域および帯域幅の意味

Web会議を行っていると「ネットワーク帯域幅が狭い」といったメッセージが表示されることがあります。まずはネットワーク帯域および帯域幅という言葉の意味を確認していきましょう。

ネットワーク帯域とは?

ネットワーク帯域とは、通信に使用される電波・光などの周波数の範囲(最高周波数と最低周波数の差)のことです。言い換えると「データの通り道の広さ」を示す指標であり、道路の道幅のように「広い」「狭い」と表現されます。帯域が広ければ一度に送信できる情報量が多くなるため、通信速度は速くなります。帯域が狭い場合は一度で送信可能な情報量が少なくなるため、通信の遅延が発生します。

ネットワーク帯域幅とは?

ネットワーク帯域幅とは、単位時間あたりに送信できるデータの最大容量を指します。「帯域」と「帯域幅」という用語に明確な違いはなく、同様の意味で使われることが多いです。また、帯域幅は1秒間に送信できる転送量を示す単位bps(ビット/秒)で表され、この値が高いほど回線速度も速くなります。

参考)インターネットの接続方法や必要な準備、接続できない場合の対処法

ネットワーク帯域幅と通信速度の関係

ネットワーク帯域幅が広ければ一度に大量のデータを転送できるため、短時間でデータをやり取りすることが可能になります。そのため、帯域幅の広さは通信速度の速さを示す方法として一般的です。例えば、テレビ会議などで「ネットワーク帯域幅が低くなっています」とメッセージが表示される場合は「通信速度が遅くなっている」ことを意味します。

参考)【比較表】Wi-Fi7とは?いつから利用できる?4つの特徴や旧規格との違い

ネットワーク帯域幅の目安

回線速度を計測するサービスである「Speedtest.net」では、全世界の固定回線・モバイル回線の速さをランキング形式で公開しています。まずはSpeedtestのデータ(2023817日時点)から、日本国内における固定回線とモバイル回線の帯域幅の中央値を確認していきましょう。

項目

固定回線の場合

モバイル回線の場合

上り(アップロード)

93.45Mbps

7.77Mbps

下り(ダウンロード)

145.49Mbps

40.75Mbps

表中の「上り」「下り」とはデータの送信方向を示す言葉です。「上り」はデータを送信することを指し、例としてファイルのアップロードやメールの送信などが挙げられます。「下り」はデータを受信するという意味で、Webページの閲覧やファイルのダウンロードなどが該当します。

なお、Web会議をスムーズに行う目安は、上り・下りともに10.015.0Mpbs程度と言われています。ただし、会議中にファイルを共有する場合や同時に別の作業をする場合などは、さらに帯域幅に余裕がある回線を使うことも検討しましょう。

ネットワーク帯域幅の確認方法

先述したネットワーク帯域幅の目安を参考にして、自社のネットワーク環境を把握しましょう。ここではネットワーク帯域幅を確認するための2つの方法を紹介します。

契約しているインターネット回線を確認する

契約しているインターネット回線の情報を確認することで、帯域最大値(帯域幅)を知ることができます。ただし、利用しているサービスが「ベストエフォート型」の場合、実際の通信速度は保証されていません。
ベストエフォート型とは、表示品質に近づけるよう最大限の努力をするサービスを指します。つまり、記載されている情報は理論上の帯域最大値であり、実際の通信速度と乖離しているケースも少なくありません。

スピードテストで測定する

さまざまなWebサービスが提供するスピードテストを活用することで、現在のネットワーク帯域幅およびインターネット回線の通信速度を簡単に測定できます。これらのサービスは、ブラウザやスマートフォンのアプリケーションとして提供されており、基本的に無料で利用可能です。ユーザーはワンクリックで自宅やオフィスのネットワーク性能を確認できます。
ただし、使用するアプリケーションによって数値は変動する可能性があるため、測定結果は目安として利用することをおすすめします。

ネットワーク帯域不足の改善方法

ネットワーク帯域が不足している状態では、ビデオ通話やWeb会議をスムーズに進めることは困難です。ここではネットワーク帯域不足の定義と、主な改善方法を紹介します。

ネットワーク帯域不足とは?

ネットワーク帯域不足とは、日常的な用途に対してネットワーク帯域が足りていない状態を指します。ネットワーク帯域の使用率が高いため、通信速度の遅延など不具合が生じやすいです。

主な不具合の例

Webサイトを開きにくくなる

・ファイル転送が遅延する

Web会議で映像や音声が見えなくなる、聞こえなくなる

上記の不具合は仕事の効率を低下させるため、ネットワーク帯域不足の状態は早急な改善が求められます。

ネットワーク帯域不足の主な改善方法

・帯域制御を利用する
帯域制御とは、パケットの種類ごとに使用できる回線容量を制限する技術です。ネットワーク帯域幅そのものは広がりませんが、特定の基準にもとづいて通信速度やデータ転送量をコントロールすることで、利用者間で回線を効率良く共有できるようにします。帯域制御を実施すれば、ネットワーク使用に支障をきたすようなデータの大量通信を防止できるので、コストを抑えつつ一定の品質を保つことが可能です。

・ツールの利用方法を見直す
ネットワーク帯域の占有率が高いツールの使い方を見直すことで、帯域の圧迫が解消される可能性があります。Web会議ツールの利用時間などに制限を設け、ネットワーク帯域の使用率が高くならないよう工夫しましょう。

・契約プランを見直す
契約帯域が利用帯域に見合っていない場合は、契約プランなどを変更するのも良いでしょう。帯域幅を広げることで、帯域不足の解消が期待できます。
ただし、プランによってはコストが大幅に高くなるおそれもあるため、自社に必要な帯域幅を確認して、利用状況に合ったプランを検討することが重要です。

LAN経路を見直す
LAN環境が帯域の異なる複数の回線で構成されている場合、狭いネットワーク帯域が最大値となってしまいます。たとえ大容量通信が可能な回線で契約をしていたとしても、一部のLAN環境がボトルネックとなって帯域不足が発生するのです。
このようなケースでは、LAN経路を最適化することでネットワーク帯域不足を解消できる可能性があります。

IPv6IPoE)対応の機器やプロバイダーに変更する
IPv6(IPoE)とは、従来の規格(IPv4)よりも高速通信が可能な、新しいインターネット接続プロトコルのことです。IPアドレスの枯渇という問題を解決するために開発されたプロトコルですが、インターネット回線の高速化・安定化にも貢献します。
注意点は、IPv6を利用するだけでは通信速度が上がらないことです。例えば、社内ネットワークがIPv6IPoE)に対応済みでも、PC、ルーターなどの機器が対応していない場合は利用できません。

・テレワークの通信環境を改善する
テレワークで勤務している従業員が帯域不足を感じる場合、個別の通信環境の改善で解決できることがあります。

通信環境を改善する主な方法

Wi-Fiの設置場所を変更する
Wi-Fiの設定を見直す
Wi-Fiの機器を買い替える
・インターネットの利用プランを見直す

Wi-Fiに関しては、Wi-Fiルーターとの距離や障害物の有無によって繋がりやすさが変わるので、できるだけ電波干渉しない場所に設置することをおすすめします。また、周波数帯(2.4GHz5GHz)の使い分けや光回線の利用も効果的です。

ネットワーク帯域幅はWeb会議のパフォーマンスを左右する

ネットワーク帯域幅の概要や通信速度との関係、主な改善方法などについて解説しました。ネットワーク帯域幅が狭いと、一度に転送できるデータ量が少なくなってしまい、結果的に通信速度が遅くなります。そのため、自社のネットワーク環境に問題がないか、インターネット回線の情報や現在の通信速度を把握することが大切です。

もしもネットワーク帯域が不足している場合は、Web会議システムのパフォーマンスが大きく低下するため、早急な改善をおすすめします。

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