埼玉県教育委員会 様 埼玉県内の県立高校139校にICT基盤を本格整備へ ~『協調学習』におけるICT活用を推進し生徒たちの主体的な学びを支援~
- 関東
- 学校・教育
- 無線LAN
無線ネットワーク導入の背景
埼玉県教育委員会は県内の高等学校139校を対象に、ICTを活用した授業を実践するためのネットワーク基盤整備を進めています。全ての生徒たちが自立して社会で役割を果たせるよう、それぞれの自主性を育むための教育環境の創出を、ICT活用によって推進していく方針です。
埼玉県では、アクティブ・ラーニングの一種である『協調学習』を取り入れた「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に取り組んでいます。2016年度には協調学習をICT活用の面から支える『近未来学校教育創造プロジェクト』を始動し、モデル校に選定した県立高校10校を対象にタブレット端末、アクセスポイント(AP)、インターネット回線、プロジェクタなど、ICTを活用した授業に必要な設備を整え、教育効果を検証しました。約2年間の検証期間で、フルノシステムズのAPがモデル校のWi-Fi環境を支えました。
2018年度からは、県内全ての県立高校を対象に本格的なICT基盤整備に着手しました。2020年度までの3カ年で、APなどの機器を139校に設置する計画です。
無線LAN導入における3つの課題
- 1.40台以上の端末を安定接続できるWi-Fi環境
1クラス約40人のタブレット端末を安定して同時接続できるWi-Fi環境の構築が必要でした。フルノシステムズのAPをモデル校に設置して約2年間検証した結果、使用する全ての生徒のタブレット端末を滑らかに接続できる性能の高さが評価されました。 - 2.故障せずに稼働し続ける高品質なAP
円滑なICT授業の実施には、APが故障せずに稼働し続けることが大事な条件でした。モデル校での約2年間の検証を経て、APが故障して使えなくなる不具合が生じないことから、製品に対する高い信頼度が採用の決め手となりました。 - 3.サポート体制の充実
ネットワーク環境の整備や機械の保守・点検でサポートを得られることが課題でした。国内メーカーの強みを生かした親身なサポート体制により、安心して導入・運用することができました。
システム概要
「G Suite for Education」 「Chromebook」 などのICTを活用した授業を支えるWi-Fi環境を構築
1. 県内139校にタブレット端末・プロジェクタ・APを整備
埼玉県の全ての県立高校139校にタブレット端末、プロジェクタ、APを整備してICTを活用した授業の基盤を構築します。タブレット端末は各校に44台、プロジェクタは全ての普通教室に設置する計画です。それらを稼働するためのWi-Fi環境を担うAPは、各校に15台程度設置する予定です。普通教室の廊下に取り付けられ、1台で2教室をカバーします。
2. Chromebookで生徒たちの主体的な学びをサポート
生徒たちの主体的な学びを促す『協調学習』でICT機器を活用します。ICTを活用した授業には、タブレット端末「Chromebook」、共同作業用ツール「G Suite for Education」、教員・生徒間のやりとりを効率化するアプリケーション「Google Classroom」が用いられます。生徒たちの相互の知識共有などに役立てられ、受け身ではない主体性を持った授業スタイルを創出します。
3. 県内10校が対象の実証実験でICT教育の効果を検証3カ年で139校にICT基盤を本格整備へ
埼玉県教育委員会では、2016年度に協調学習をICT活用でサポートするプロジェクト『近未来学校教育創造プロジェクト』を始動しました。 モデル校に選定した県立高校10校に、先行してタブレット端末やAPを整備し、ICTを活用した授業の効果を検証しました。約2年間の検証期間を経て、2018年度から埼玉県内の全ての高校139校を対象にICT基盤整備が始まりました。2020年度までに139校のICT基盤を整える計画です。
お客様の声
埼玉県 教育局 県立学校部 高校教育指導課 髙井 潤 様
埼玉県では、2010年度から東京大学CoREFと連携し、『学びの改革』に向けた取り組みを開始しました。『協調学習』の一つで東京大学CoREFが提唱する『知識構成型ジグソー法』という学びの型を取り入れ、先生方が学校・教科の枠を跳び越えて学び合いの活動を探究し、授業改善に取り組んできました。
生徒たちが身につけた知識や考え方を互いに共有する協調学習では、ICTが有効なツールになります。例えば、各自が持っているさまざまな資料の配布や、発表の準備にかかる手間や時間が、タブレット端末やプロジェクタを用いることで省けます。2016年度に始めたモデル校での検証では、ICTと学びを融和すると効率的な授業ができることが分かりました。
“チョークとトークとワークシート”という、古くから先生方が武器としていたものが変わらずある中で、学校がICTを取り入れて社会の変化に追いつくことは容易ではありません。ですが、生徒たちが社会に出たときに本当に役立つ力を、学校教育で育成できるように環境を整える責任が、私たち教育機関にはあります。ICTの進化に学校教育がどこまで追いつけるかは分かりませんが、今後もICTを活用した授業が日常的に取り組めるよう、信頼のできる機器を選びながら、ICT環境の充実を図っていきたいと考えています。
お客様情報
お客様情報
- お客様名
- 埼玉県教育委員会
- 教育長
- 小松 弥生
- 所在地
- 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号
- 児童・生徒数
- 高等学校 116,008人(2018年5月時点)
- URL
- https://www.pref.saitama.lg.jp/kense/gaiyo/soshiki/kyoiku/index.html
[取材実施:2019年2月]
※本内容はすべて取材当時のものです。組織・部門・役職名、また仕様など、その後変更となっている場合があります。
事例ダウンロード